文化祭で良い演技をしたい高校生・中学生に!お芝居4つのポイント

文化祭で良い演技をしたい高校生・中学生に!お芝居4つのポイント

この記事は、

・文化祭で劇をすることになったけど、どうすればいい演技ができるの?

・何に気をつければいいの?

こんな疑問をお持ちの学生の方に向けて書いていきます。

この記事を読むとこんなことがわかります。

文化祭ですぐに使える演技テクニック4つ

どうも俳優をやっていますヒロユキです。

今年で俳優歴14年目。事務所に所属していないこともあり大きい作品には出ていませんが、それでもTVドラマ、映画、舞台、ラジオドラマ(製作、脚本、主演)など色々な媒体に出演してきました。

また、この14年間「演技とは」ということを考え続けてきました。その間にスタニスラフスキーシステム、リーストラスバーグメソッド、マイケルチェーホフテクニークなど様々な海外の演技論も学び身体に落としてきました。

さてこの記事では、文化祭や学園祭で劇をやることになったけど「一体なにをすれば良いんだろう?」という方に向けて、プロの俳優なら必ず意識している4つの演技ポイントを解説します。

この4つのポイントを学ぶことで、他の劇を出し物にしているクラスとは段違いに良質な芝居をすることができます。

世界中に演技論や演技テクニックは数百~数千とあり、基本的にはどれも習得するのに長く時間がかかります。

なぜなら演技力を磨くには、俳優の感情や感性といった目に見えない部分を鍛えなければいけないからです。

目に見えない分、上手くいっているのかどうか判断が付きにくいし、一度上手くいっても、次の芝居ではぼろぼろってこともあります。

俳優はこのように感情を使う職業なので、上手くいったり行かなかったりが激しいです。

今回お伝えする4つの演技ポイントは、演技の根幹部分です。

感情の波によって成果が変わってしまうところよりも前の部分。

なので、身につければ着実に文化祭の成功につながります。

今日学んでいくのは次の4つです。

①セリフをいきなり覚えようとしない
②超課題を見つけ、完遂する
③相手のセリフを聴く
④声を前に出さない

さっそく見ていきましょう。

セリフをいきなり覚えようとしない

いざ演劇をやろうとしても何をしていいかわからない。

とりあえずセリフは覚えておかないと・・・と思い、セリフを暗記し始めようとする人も結構多そうな気がします。

でもはっきり言ってそれは悪手です。

良い演技をするためには、想像上の世界(=あなたが演じる作品の世界)で役として生きることが大切になってきます。

桃太郎をやるのであれば「なんとしてでも鬼を退治して村に平和を取り戻す!」という気持ちが沸いてくるべきでしょうし、恋愛ものだったら「相手役の人物となんとかして付き合いたい!」みたいな気持ちが演じながら湧いてくるべきです。

つまり感情が湧いてきて、湧いてきた感情のまま口を開いたらたまたまセリフ通りだった

これが俳優としての理想の姿です。

逆に「こんな表情で演じてやろう」「こんなセリフの言い方の方が格好いいんじゃないか」

こういった役者としての思考は邪魔なだけです。

なぜなら役はそんなことは考えないから。

役はただその作品の世界で生きているだけ。

「こうした方が良いんじゃないか」という役者の思考を捨てて、役としてただその想像の世界に立つ。

それでこそ役として作品の世界で生きていると言えます。

つまり世間で一般的に言われている、

「演技=上手く嘘をつくこと」

というのは大間違いだということをまず理解してください。

演技はむしろその真逆。

「演技=どれだけ嘘を無くせるか」

です。

作品は当然虚構ですから偽物です。

そこに存在する役も虚構。

だけど俳優は、偽物の世界の想像上の人物に必死に共感して役作りをする。

嘘からスタートしたものを嘘で終わらせない。

そして本当の感情が動くから演技は芸術なんです。

ここに俳優が人生を賭けて追い求めるだけの価値があります。

逆にセリフを上手く言おうとすることだけに注意が行ってしまうのは、テクニックだけで乗り切ろうとしている感じを覚えます。

当然俳優の心が動いていないので、観客の心を動かすこともできません。

セリフを早い段階、つまり台本を渡された段階から覚えていこうとすると、どうしてもセリフの言い回しに意識が行ってしまいます。

それは役のイメージを狭め、言い方を固定化してしまい、活き活きと役を生きることができなくなります。

だからまずはセリフを頭に入れないでください。

台本を渡されたらまず台本を2度くらい読んで、なんとなくストーリーラインだけ理解します。

しばらくはセリフが台本と異なってしまってもいい。あなたが演じながらその場で何と言おうか考え、自分自身の言葉でストーリーを進めて行ける方が100倍大切です。

あなた自身が演じながら考えるということは、役として生きていることを表しているからです。

つまりセリフに頼っていない。

ちょっと具体例を出しますね。

たとえば桃太郎でおじいさんとおばあさんに鬼退治に行くと告げるシーン。

「おじいさん、おばあさん。僕はこれから鬼をこらしめに行ってきます!」

が正しいセリフだったとしましょう。

でもあなたは、台本を渡された段階ではこのセリフを正確に覚える必要はありません。

鬼退治に行ってくるよという意味の言葉をここで言うんだなくらいの理解でOK。

「僕、鬼退治に行ってこようと思う」

とか

「鬼、倒してくる」

でいい。

ここでは正しいセリフを言うことよりも、鬼を倒さなきゃという意志が感じられるかどうかが最重要です。

鬼と戦って殺される可能性もあるので当然恐怖もあるはずです。

怖いし、どうすれば倒せるかもわからないし、でも、僕が鬼を倒さないといけないという使命感。

こういう複数の感情がぶつかった上で、「鬼、倒してくる」と言えたら、この一セリフだけでとんでもない良い演技になるわけです。

セリフが台本通りとか本当にどうでもいい。

ちゃんと役者が、役として考え感じて言葉にする。

スタートはここからです。

もちろん本番では、セリフをすべて頭に入れなければいけません。

でもこれはそんなに怖がる必要はありません。

何度も台本を読んで、自分なりの言葉で演じることを繰り返していけば、だんだん頭にセリフが定着していきます。

あとは本番数日前に、細かい語尾とか言い回しとかをガッと詰め込んで終わりです。

大体観客は正しいセリフがなんなのか知らないので、ストーリーをぶった切るようなセリフじゃないかぎりばれることもありません。

安心して間違えましょう。

超課題を見つけ、完遂する

2つ目は「超課題を見つけ、完遂する」です。

超課題と聞いてもピンとこないかもしれません。

超課題とは役の目的のことです。

なにがあっても絶対に成し遂げる!という強い意志を持った目的と考えてください。

桃太郎だったら、「鬼を退治して平和を取り戻す」ですよね。

お供の犬だったらどうでしょう?

「きびだんごをできるだけ多くもらいたい」かもしれません。

または「できるだけ楽してきびだんごを手に入れたい」かもしれないですね。

超課題は必ずしも崇高な目的とはかぎりません。

脚本からずれない範囲で、欲望にマッチする超課題を見つけます。

超課題が変わると演技全体が変わります。

たとえば、あなたが犬を演じるとして、「きびだんごをできるだけ多くもらいたい」のか、「できるだけ楽をしてきびだんごをもらいたい」なのかで全く演技が変わってくることが想像できるでしょうか。

できるだけ楽をしたいんだったら、戦闘のシーンでも前に出ないかもしれないですよね。

後ろでサポートに徹するとか、ちょっと鬼に攻撃されたらすぐダウンした振りをするとか。

セリフも桃太郎に媚びた言い方になるかもしれません。

逆に「きびだんごをできるだけ多くもらいたい」のだったら、働き者であることを必死にアピールするでしょう。

出てくる役はすべて何らかの超課題があります。

なぜなら成し遂げたいものがなにもない役を、わざわざ脚本に書いても物語に影響を及ぼさないからです。

しかもムダに尺も長くなります。

脚本家からすると、そんな役をわざわざ物語に放り込む意味がありません。

通常、すべての役は超課題を成し遂げるために配置されたキャラクターと考えてください。

(木の役とかはないかも。あれは人数調整なので。。。)

俳優目線で見ると、超課題さえしっかり握りしめていれば演技にぶれは起きなくなります。

「できるだけ楽をしてきびだんごを手に入れたい」犬の行動基準は、疲れずにおいしい想いをしたいということです。

ここさえぶれなければ、セリフを間違えようが忘れようが、物語上で犬の存在意義は果たせるわけです。

ちなみに超課題は一つだけです。

複数思いつくこともあるでしょうが、一つに絞ってください。

複数あると想いの力が弱くなり、役の存在意義がぶれます。

少しだけ難しいことを話すと、超課題は物語全体の超課題。シーンごとの超課題。セリフごとの超課題。とどんどん細かく切っていくことができます。

たとえば桃太郎のおじいさん目線で考えてみると、

(脚本にもよりますが)全体の超課題は「桃太郎に幸せに暮らしてほしい」ではないでしょうか。

桃太郎が鬼退治に行くと告げるシーンの超課題は、「危険だから桃太郎に鬼退治をあきらめさせたい」。

セリフ単体で考えてみると「鬼退治はやっぱりやめると言わせたい」になるのかもしれません。

こうしたそれぞれの役の超課題が、それぞれのシーンでぶつかることによって、物語は盛り上がりを見せます。

細かいセリフの言い回しを覚えるよりも、まずはあなたに与えられた役の物語全体の超課題と、シーンごとの超課題を見つけて絶対に完遂すると覚悟を決めましょう。

ここさえ抑えておけば、あとは勝手に物語は成立しますよ。

相手のセリフを聴く

3つ目は「相手のセリフを聴く」です。

普段のあなたの生活を考えてみて下さい。

友達の言葉、恋人の態度、親の小言、部室内の空気・・・

こういうのを受けて、あなたの頭の中になんらかの感情や思考が浮かび上がってきて、それが言葉になるはずです。

無理して感情を作らなきゃとか、〇〇を感じなきゃ!なんて強制したりしないですよね。

外部のなにかを受けて、自然にあなたの心が動く。

芝居もこうあるべきです。

つまり相手役の言葉やそのシーンの空気感を受けて、感情や思考が浮かんできて、セリフとなって口から出ていく。

自分でムリヤリ感情を作り出すんじゃありません。

日常と同じく外部からの刺激を受けて、それに合わせてセリフも変化していくんです。

だから本来同じ芝居は二度と起きません。

相手役の言葉の抑揚や、あなた自身の体調で変化していくのが普通だからです。

なのに実際は、台本をひとたび手にしてしまうと、自分のセリフをどう読むかにしか意識がいかなくなってしまいがち。

周りの影響を受けずにセリフを読もうとすると、あなたのセリフだけ浮いてしまいます。

良い演技は力を込めて演じることじゃなくて、日常と同じ感覚で想像の世界を生きることから生まれます。

普通に考えてみても、そっちの方がリアルですよね。

他の人のセリフをしっかり聞きましょう。

声を前に出さない

最後は「声を前に出さない」です。

これは演技のポイントというよりは、演じる上でのテクニックという感じです。

文章だと伝えずらいですが、よくある高校生演劇とか、シェークスピアの舞台とかを想像してみてください。

セリフを話す人が一歩前に出て

「僕はこの先どうすればいいんだ!!?」

「死ぬべきか!生きるべきか!それが問題だ!」

なんて叫んでいる姿、想像できますか?

こういう演劇の表現方法があるのは事実ですが、素人がやっても99%下手に見えるだけなので止めましょう。

だいたいこんなしゃべり方する人間観たことありません。

せっかくセリフに捕らわれないで感じたまま言葉にすることや、相手のセリフをちゃんと聴いて、日常と同じように感じる方法を学んだのに、こんなセリフの言い回しをしたらすべて消えます。リアリティどこ行った?

普通でいいんです。

あなたの普段のしゃべり方をしてください。

普段あなたの声は、前に出ていないはずです。

口の周りの空気や口の中が震えるくらいじゃないですか?

人によっては声が後ろ側に出る人はいますが、前方向に出ていく人は皆無です。

前方向に声が出るってどういう感じかというと、前方20m先に友達がいて「おーい!」って呼びかけてる感じ。

つい舞台ではそういう発声をしてしまう人が多いですが(プロでも)、横にいる相手役に話しかけるのにその発声はただただ謎です。

こんな発声のクセなんて5秒でとれるので、サクッと止めましょう。

普通にしゃべろう。

まとめ

今回は、文化祭・学園祭で役に立つ演技の4つのポイントをお話ししました。

①セリフをいきなり覚えようとしない
②超課題を見つけ、完遂する
③相手のセリフを聴く
④声を前に出さない

どれも基本的なことだけど、短時間であなたの演技に良い変化をもたらします。

セリフが全てだと思ってた人には、結構意外なことも多かったんじゃないでしょうか。

一つだけ覚えて帰ってもらいたいことは、役も一人の人間だということです。

どの役も何でもする可能性がある。

めちゃくちゃ真面目な学級委員長の役だったとしても、部屋で髪の毛を金髪に染めてみた経験があるかもしれません。

いつも笑顔で人気者の彼女も、家ではペットをいじめているかも。

大切なのは、その役の善悪を論じることじゃありません。

一人の人間はどんなことをする可能性だってあるし、それを受け入れて認めてあげるのが、俳優であるあなたの仕事です。

あなたが演じる役に関してはあなた以上に知っている人がいてはなりません。

脚本家や監督・演出家よりもあなたがわかっていなければならない。

だってあなたの役なんだから。

役のことを考えて考えて考える。

そのためにはノートに想いを色々書くのもいいでしょうし、空き時間にぶつぶつ独り言をつぶやくのもいいかも。

「俺の役はこっちを選んだけど、俺だったら選ばないな。なんで同じ選択にならないんだろう」

とかね。

絶対無欠の答えがあるわけじゃありません。

ただ少しでも役に近づこうとする。共感しようとする。それだけ。

ここさえ理解できていれば、セリフでがんじがらめにしてしまったらおかしいなとか、相手役の言葉を聞かずにセリフの言い回しを考えてたら変だなとか思いだせるはずです。

「あ!役も一人の人間だった!」って気がつける。

これが役として想像の世界(=作品の世界)を生きる俳優の日常です。

ようこそ俳優の世界へ。

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