この記事は、
・すぐ演技が上手くなりたい!
・演技が上手くなるコツってなんかあるの?
・簡単にできる演技が上手くなる方法、教えてくれ!!
こんな想いをお持ちの方に向けて書いていきます。
この記事を読むとこんなことがわかります。
【超簡単】たった一つ意識するだけで演技が上手くなる方法
どうも俳優をやっていますヒロユキです。
僕は今年で俳優歴13年目になります。事務所に所属していないこともあり大きい作品には出ていませんが、それでもTVドラマ、映画、舞台、ラジオドラマ(製作、脚本、主演)など色々な媒体に出演してきました。
また、この13年間「演技とは」ということを考え続けてきました。その間にスタニスラフスキーシステム、リーストラスバーグメソッド、マイケルチェーホフテクニークなど様々な海外の演技論も学び身体に落としてきました。
芸能界で映画に出まくっている俳優は、俳優全体のほんの1部です。
俳優人口の3%もいないと思います。
ほとんどの俳優は、陽が当たらない生活を送りながら、コツコツ地道に何年もかけて演技力を高めていきます。
それでも売れるとは限りません。
俳優は人気商売でもあるので、演技力が高ければ売れるわけでもないんです。
とはいえ、世に出るには演技力も当然必要。
バイトで何とか生活費を稼ぎながらギリギリの状態で、オーディションを受けてチャンスをつかもうと、俳優はみんな必死です。
「そうじゃなくて、さくっと演技が上手くなる方法が知りたいんだよ!そんなのないの?」
安心してください。
この記事は、すぐに上手くなる方法を知りたい方向けの記事です。
コツコツ地道にやってる俳優には悪いですが、じつはインスタントに演技力を高める方法があります。
この記事では、器用で見せかけだけの演技におちいらず、しっかりした演技力をすぐさま手に入れる魔法のような方法をお伝えします。
【超簡単】たった一つ意識するだけで演技が上手くなる方法
![](https://actrip.jp/wp-content/uploads/2021/07/balls-2882427_640.jpg)
「あ、この人演技上手いな!」
とあなたが思うのはどんなときでしょうか。
魂が叫んでいるような感情的なシーン。
めちゃくちゃ変わったキャラクターをいきいきと演じている俳優。
これらは、たしかに上手いなと思いやすいです。
さすが俳優だと。演技力あるなと。
しかし感情を作るのも、キャラクターを作る(キャラクタライゼーションと言います。)のも、一筋縄ではいきません。
どんなに短くても一か月は、役と真剣に向き合っていく必要があります。
あなたが求めてるのは、もっと簡単に、すぐ演技が上手くなる方法ですよね?
だったら、時間がかかる感情やキャラクターは捨てて、別の部分からアプローチしていきましょう。
それは、
リアルな演技
です。
役が本当にそこに存在しているみたいな、リアルな演技。
これもやっぱり、演技上手いなって思いませんか?
「リアルな演技って難しそう・・・これこそ時間かかるんじゃないの?」
たしかに、ガチでやるのなら、それこそ数年かかります。
でも、リアルな演技には、実は感情もキャラクターも必要ないんです。
必要なのは、
正しい意識の方向
だけ。
演じる時に、日常生活と同じように意識を向けて動くことができれば、それだけでリアルな演技になります。
だから、ぱっと見上手い演技をするには最適です
さらに、意識の向きと、その割合が正しければ、不思議なことに感情も自然に沸き起こってくるのです。
これは、演劇界を変えたスタニスラフスキーシステムの基本となる考えです。
このシステムを作ったスタニスラフスキーは、行動することによって感情を呼び起こすことができると唱えました。
これを「身体的行動」(しんたいてきこうどう)と言います。
この身体的行動によって、数十日にわたる舞台でも、俳優は、毎回感情を呼び起こすことが可能になったわけです。
だから、あなたがやることは、日常生活と同じように向けるべき場所に意識を向ける練習をするだけです。
あとは、それに合わせて動くだけ。
意識⇒行動⇒感情の順番です。
感情は自動的に生まれます。
セリフの言い方を工夫したり、心の中になんにもないのに感情的なフリをするのは、ただ器用で見せかけだけです。
これは、演技に変なクセがついてしまうだけで、演技力の向上をむしろさまたげます。
「すぐに良い演技がしたい!もしいけそうなら、この先俳優もやっていってもいいかも」
と考えているなら、見せかけだけの演技は絶対にやめてください。
単純に時間も機会も能力も損します。
リアルな演技を行うための「正しい意識の方向」は、演技の土台になります。
俳優始めたてから、超ベテランまで、演技をやっている間、ずっと必要な能力です。
最初に、このリアルさをつかむことができれば、オーディションでも他の俳優より十歩くらい先に立てます。
さあ、さっそく正しい意識の方向を身につけましょう!
正しい意識の方向の身につけ方
![](https://actrip.jp/wp-content/uploads/2021/07/arrow-2085195_640.png)
さて、正しい意識の方向とはどういうことでしょうか。
一つ簡単な例題をやりながら考えてみましょう。
例題
あなたは昼食を買おうとコンビニにいます。
選んだのは、パン一つとおにぎり一つとペットボトルのお茶一本。
今、この3つを手に持っている状態です。
この後どこに意識を向けて、この三つを買いますか?
少しだけ時間をとって考えてみてください。
動きながら考えても良いですが、いまのところ、頭の中で考えるだけでもいいです。
できるだけ、昼食時のコンビニを具体的に想像してみてください。
考えましたか?
さあ、回答です。
人によって意識の向け方は千差万別です。
なので僕だったら、こう意識が移り変わるという観点から説明していきます。
「あ、ここは気づいてなかった」
という部分があったら、今後取り入れてください。
~~~~~・~~~~~
あなたは、手に買いたい商品を持っています。
「自分のお腹の減り具合」、「ダイエットしているかどうか」、「昼食をすませる時間制限」
などに意識を傾けて、「まあこの3つあればなんとかなるかな」と考えます。
さて、レジに商品を持って行こうと、空いているレジを探します。
まず最初に意識が向くのは、他のお客さんが並んでいるかどうかです。
できれば早く会計を済ませたい。
空いているレジはあるのか。
それとも、どのレジで会計してもらうにしても、一列に並ぶしかないのか。
「あ、あの店員さんの方が手際よさそうだな」
なんて思うかもしれません。
さて、ようやくあなたの番になりました。
購入したい商品をレジ台の上に置きます。
ちらっと目の端に、肉まんやフライドチキンなどが映ります。
「いや、今日は止めとこう」or「一つくらいならいいか」
判断します。
その時、店員さんから声がかかりました。
「レジ袋はいかがいたしますか?」
そうだった。
今は、レジ袋は有料化されていました。
あなたはカバンがあることを一瞬思いだし、
「あ、大丈夫です」
と答えます。
その間に、店員さんが会計を済ましてくれます。
「3点で、294円です」
あなたは、ポケットか、カバンの中から財布を取り出します。(suicaやpaypayだと練習にならないので現金払いにしてください)
いつもは、どこに財布入れてますか?
仮にカバンの中に入れていた場合、どこを意識しながら取り出しますか?
「カバンの留め金外しにくいんだよな」とか、「いつもカバンの中で財布が迷子になるんだよな」などありませんか?
さて、やっと財布を取り出しました。
レジに表示されている金額に目をちらっと向けます。
294円。
できれば、小銭を使いきりたい。
まず小銭入れを見ます。
4円、、、4円、、、。
あった。
でも90円はなさそうなので、百円玉3枚と一円玉4枚で払うことにします。
レジの上にお金を置きます。
店員さんが数を数えるのを待ちます。
「はい。304円お預かりします」
そして、お釣りの10円をレジ台に置いたのを見て、10円を財布の中に入れます。
忘れずに小銭入れのチャックもしめます。
購入した商品をカバンの中に放り入れ、お店を出ます。
~~~~~・~~~~~
このように、僕らが当たり前のように行っているコンビニでのやり取りだけでも、意識はパッパッパと何度も切り替わっています。
普段は、習慣になっているので何も考えずにできることですが、どこに意識が向いているかを改めて考えてみると複雑極まりありません。
「普段できるんだから、演技でもできるんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、そういうわけにはいきません。
訓練なしで日常生活と同じように意識を向けて芝居することは不可能です。
大抵は意識するべきところを意識し忘れます。
そして、たまに、普段意識しないところを意識しすぎます。
僕らが日常で、当たり前のように頭に浮かぶことのほとんどは、芝居では完全に忘れ去られます。
なぜなら、台本に書かれていることが全てになってしまうからです。
セリフをしっかり言うことだけしか頭にない状態になってしまいます。
上の一連の流れが、台本に書かれるとしたら、大体こんな感じです。
男、パンとおにぎりとペットボトルのお茶をレジに置く。
店員「レジ袋はいかがいたしますか?」
男「あ、大丈夫です」
店員「294円です」
男、304円出す。
店員「304円お預かりいたします」
男、商品とお釣りをもって店を出る。
まあ普通は、こんなに細かく台本に書かれることはありません。
男、昼食を買う。
くらいです。
この台本をもらったときに、
自分のお腹の減り具合や、昼食の時間制限(1時間休み)のことを考えるでしょうか。
レジが混んでいるから空いている列を探そうとか、目の端にちらっと映ったフライドチキンや肉まんのことに意識を向けるでしょうか。
できるだけお釣りがないように4円をしっかり探すでしょうか。
多分そんなことしませんよね。
「は~ん。ここで昼食買うのね。オッケー」
くらいじゃないでしょうか。
こうなってしまうと、リアルな演技とはほど遠い。
そして、この状態で演じると、視聴者も演技に違和感を覚えます。
「あ、この人はいつも小食なのか」
「どこのレジが空いているかわかってるから、このコンビニに通い慣れてるのかな」
「304円出すのはやっ!計算はやっ!」
みたいな。
オーディション行くと、この程度の俳優はゴロゴロいます。
コンビニで物を買うことすら、芝居だと満足にできません。
正しい意識の方向を身につけてごぼう抜きにしてやりましょう。
例題再チャレンジ
さて、意識の方向がどういうものか理解できたと思います。
ここで、もう一度同じ流れを、実際に動いてみてやってみましょう。
店員の言葉などは、頭で想像してください。
財布やカバンや商品は無しで、手ぶらで構いません。
持ってるふりで演じます。
ここでの目的は、意識がちゃんと向けるべきところに向けられるかです。
今は他のことは無視して構いません。
コツは、一つの行動を丁寧に何度もやること。
実は、
「商品をレジに持って行って、お金を払って、店から出る」
は長すぎます。
「お金を払う」なら、お金を払う部分だけ意識の方向が完璧になるまで繰り返した方が効率が良いです。
一つ一つの動きを完璧にして、最終的につなげてください。
これで、あなたはコンビニで昼食を買うリアルな演技ができるようになります。
他の例題
もし余力があったら、自動販売機でジュースを買う演技にも挑戦してみて下さい。
店員の声など、余計なものが無いのでこちらの方がやりやすいかも。
場面設定はこうです。
あなたは、駅のホームの自動販売機でジュースを買い、そのあとに電車が来て乗り込みます。
コンビニと同じく、財布からお金を出すときの意識の方向もしっかりやりましょう。
この場面で、最初に意識を向けるポイントわかりますか?
「どのジュースを飲もうかな?」
じゃないですよ。
まずやることは、
自動販売機でジュースを買う時間の余裕があるのか、次の電車が来る時間の確認です。
ジュースを買っていて、電車に乗り遅れたらまずいですからね。
日常生活だったらまずそこを意識しますよね。
分からなくなったら、普段自分だったらどこに意識を向けるかに戻ってきましょう。
正しい意識の方向のためのエクササイズ【架空対象行動】
![](https://actrip.jp/wp-content/uploads/2021/07/bordeaux-963810_640.jpg)
上の例題2つは、かなり実戦的な内容です。
正直、意識するべきところが多すぎるので難しいです。
(意識の方向とはなにかを説明するために、この二つを先にお伝えしました。)
ここから説明するのは、あなたの意識の方向レベルを引き上げるエクササイズです。
こっちは簡単。
奥はめちゃくちゃ深いですが。
名前を
架空対象行動
と言います。
ここでのエクササイズは二つ。
コーヒーを飲む
と、
食パンを食べる
です。
実物は使わずに、コーヒーを飲んで、食パンを食べてください。
それだけ。
簡単そうに思えますが、99%の俳優が「その角度だとコーヒーこぼれてるよ!」ってなります。
やり方は以下の動画を参考にしてください。
27秒
1分22秒
一見、パントマイムに見えるかもしれませんが、中身は全然違います。
パントマイムは、お客さんに見せるもの。
架空対象行動は、やっている本人が感じるもの。
です。
他人に見せるものじゃありません。
リアルな意識と行動を、コツコツ見つけていってください。
このコーヒーと食パンが、全く苦も無くできるようになると、上のコンビニや自動販売機も楽にできるようになってきますよ。
まとめ
この記事では、すぐに演技が上手くなる方法をお伝えしました。
すぐに演技が上手くなりたい場合、感情やキャラクターを磨くのではなく、
リアルな演技
を目指しましょう。
感情やキャラクターは、とにかく時間がかかります。
すぐに磨けるものじゃありません。
対して、リアルな演技は、正しい意識の方向を身につければできるようになります。
正しい意識の方向とは、日常生活と同じように意識を持つことです。
日常では、習慣としてできることも、芝居中には意識できないことがたくさんあります。
そこを修正していく練習です。
最後に紹介した、コーヒーと食パンのエクササイズ「架空対象行動」をやっていくことで、意識の方向がだんだん良くなっていきます。
リアルな演技ができれば、他の俳優たちよりも十歩先を歩けます。
意識の方向について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
そしてもしあなたが、この記事を読んで
「演技っておもしろいかも」
と感じたのなら、演技の世界は奥がクソ深いので、こちらの記事を是非読んでスタートしていただければと思います。
ヒロユキの演技ワークショップはこちらから。