アドリブとは?そして演技でのアドリブ力の鍛え方【実は簡単でした】

アドリブとは?そして演技でのアドリブ力の鍛え方【実は簡単でした】

アドリブって即興で演じること?ん?いまいち定義がわかってないかも

・セリフもなしで即興で演じるのなんて無理!アドリブってどうやるの?

こんな疑問をお持ちの方に答えていきます。

この記事を読むと以下のことがわかります。

・アドリブとは何か

・簡単に身につく演技のアドリブ力の鍛え方

どうも俳優をやっているヒロユキと言います。

僕は今年で俳優歴13年目になります。事務所に所属していないこともあり大きい作品には出ていませんが、それでもTVドラマ、映画、舞台、ラジオドラマ(製作、脚本、主演)など色々な媒体に出演してきました。

また、この13年間「演技とは」ということを考え続けてきました。その間にスタニスラフスキーシステム、リーストラスバーグメソッド、マイケルチェーホフテクニークなど様々な海外の演技論も学び身体に落としてきました。

この記事ではアドリブについて解説していきます。

他の記事より、さらっと読みやすい内容なのでざっと目を通して行ってください。

それではスタート!

アドリブとは何か

まずは、アドリブと言う言葉について。

めっちゃさらっといきます。

アドリブの意味については、別サイト様の記述がとても分かりやすかったのでこちらに貼らせていただきます。

アドリブとは?

即興で行う演技や演奏のことを言います。
その場の思いつきで話すことなどを指して、広く一般的にも使われていますよね。

アドリブの使用例

  • あの俳優とあの俳優のアドリブの掛け合い最高だよね!
  • 突然セリフが飛んでアドリブで乗り切った~

アドリブの語源

「アドリブ」は、ラテン語で「好きなように・気ままに」という意味合いの言葉「ad libitum(アドリビトゥム)」から来ており、演劇界や音楽界で使用されています。
英語で「ad lib(アドリブ)」も、「即興」と言った意味を表しています。

出典:イベントパートナー様

いかがでしょう。

大体予想した通りだったのではないでしょうか。

このように台本を介さず即興で演じることをアドリブと言います。

さて、それではどれも即興を意味するアドリブとインプロヴィゼーションとエチュードの違いはわかりますか?

アドリブとインプロヴィゼーションとエチュードの違い

どれも即興・・・ではあるんですが、若干ニュアンスが違うように感じます。

アドリブは芝居の中の一部分に使うし、

インプロヴィゼーションは即興芝居、

エチュードは芝居というより練習というイメージが強いかと思います。

正確にはどう区別されているのだろうかと調べていたところ、こちらのサイトでとても明確な答えが書いてありました。

これら3つの違いは…

インプロ→英語

エチュード→フランス語

アドリブ→ラテン語

単に、語源が違うだけ!

出典:センスのある演技を育むブログ様

たしかに!!

実に明快。

言語が違うんですね。

ただ、現実には日本の団体それぞれでこの3つの言葉を別物ととらえているところの方が多いと感じます。

郷に入っては郷に従えで、「語源が違うだけなんだよな」と思いつつも、所属先の団体の考え(またはそういう言葉を使ってくる相手)に合わせましょう。

大した違いじゃありません。

簡単に身につく演技のアドリブ力の鍛え方

さて、本題はこちらです。

「映画や舞台でアドリブをしている俳優さんを見るけど、あれっていったいどうやってるんだーーー!!!セリフもないのにあんなの無理!!」

という方に朗報です。

アドリブなんて実は簡単です。

自慢じゃないですが、もし2時間の舞台で「アドリブで1時間演じ続けてくれ」と言われても多分僕はできます。

ちゃんと演技の基礎から理解していれば、アドリブなんて特殊な技能じゃないんです。

以下、アドリブの鍛え方の流れです。

1.アドリブは役の言動の一つにすぎないと理解する

2.役の外的キャラクター(話し方・動き方)を作る

3.役の内的キャラクター(感情・思考)を作る(2と3の順番はどちらでもいい)

4.2と3を繰り返してスムーズに演じられるようにする

お気づきになりましたか?

やることは単純、普通の役作りです。

2~4なんて、もうそのまま普通の役作り。

もしあなたが、「アドリブを急に振られると困る」「どうやってアドリブすればいいのかわからない」とお悩みなのであれば、この普通の役作りの部分に問題があります。

この記事を読めば解決するので安心してください。

それでは見ていきましょう。

アドリブは役の言動の一つにすぎないと理解する

アドリブに不安を持っている方は、アドリブをするには特別な技術や発想力、ひらめきが必要だと思ってるのかもしれません。

しかし、実はそうではありません。

アドリブとは台本にセリフが載っていないだけで、役の言動の一つに過ぎないのです。

ですから

「役が何を望んでいて」、

「何をしたがっていて」、

「何を嫌がっていて」、

「何に悩んでいるのか」。

そして、

「どんな話し方をするか」、

「どんな仕草をしがちなのか」

というのが、あなたの中にあれば言葉や動きは自然と出てきます。

逆にここら辺に自信がないのであれば、そもそも役作り自体が未完成ということです。

役を演じさせてもらうのに、役のことがわかっていない状態です。

例えば、役ではなくあなた自身として考えてみてください。

あなたは、1時間後にどんなことをつぶやくか考えておきますか?

友達と話すときに、何をどんな言い方で話そうか毎回考えますか?

きっとそんな面倒くさいことしませんよね?

その時になったら、自然となにかをつぶやいてたり、友達の言葉に単純に反応したりしてますよね。

そうです。僕らは日常的に動きを用意したりしません。

なぜなら、ほとんどの場合において〇〇をしなければいけないという縛りがないから

いつつぶやいてもいいし、何をつぶやいてもいい。友達の言葉にどう反応してもいい。

全てが自由です。

だから僕たちは行動を準備したりしません。

しかし、役にはセリフを話さなければいけないという縛りがある。そして演出に従わなければいけないという縛りもある。

だから、ついセリフをしっかり話そうとしてしまう。演出や作品に合う様キャラクターを作ってしまう。

この考えをまず取っ払ってください。

その縛られた自由でない状態で演技をしても、あなたの演技力がこの先伸びることは絶対にありません。

真に腹から理解しなければいけないのはこれです。

役は一人の人間

一人の人間なのだから、どんなことをする可能性もある。

ことあるごとに口の中で唱えてください。

僕は俳優と言う仕事の根幹であると思ってます。

役はあなたと同じで一人の人間です。だからセリフの無いところでどういう風に動いても自由です。

めちゃくちゃ真面目で頑固な男が、急に上半身を脱いで踊りだすことだってあり得ます。

例:

真面目な男がそんなことするわけない!と思うのは、役を一人の人間だと認めていません。

真面目な高校生だって、学校の帰りに買い食いしたいなぁと思うかもしれないでしょ?

普段暴力ばっかりふるってるヤンキーが、雨の中子犬を拾うかもしれないでしょ?

役は人間です。どんなことだってする可能性があります。

セリフにしたってそうです。嫌ならセリフなんて言わなくたっていい。

全く逆の意味の言葉を発してもいい。

だって人間を演じてるんだから、その時の気分によって自由に言葉を発していい。

まず前提条件として、「役はどんなことをする可能性もあるし、なんでもできる」ここを理解しましょう。

しかしこう言い切ってしまうと、「いやいや、セリフはちゃんと言わなきゃだめでしょ」と思うかもしれません。

それはそう。作品のためにはその通り。自由すぎると物語が進行しませんからね。

しかし、役としてはどんなことをしてもいい。

この対立する二つを成立させるために、俳優のあなたが考えなければいけないことがこれ。

「どういう状態だったらこの役はこのセリフを言いたくなるだろうか」

なんでも自由にできる役が、セリフを言いたくなるのはなぜなのか。この理由付けをしてあげることによって、役がセリフを話す確率を上げることができます。

ここに至っても、100%じゃありません。

だって役は人間ですから。その時の気分次第では全く違うことを言ってしまうかも。

ただ、それでは作品は成立しないので、あなたは役がそのセリフをしゃべってしまう理由をしっかり作る必要があります。

現実には、脚本の中に大体そのヒントか答えが用意されてます。ですから理由付けをするというよりも、理由を探すの方が正解に近いです。

こうして、役がついセリフをしゃべってしまう理由を作れるようになると、もうアドリブは簡単です。

だってアドリブではセリフをついしゃべってしまう理由すら必要ありません。

自由な一人の人間が、その設定の場所にいるだけです。

上半身脱いで踊りだすでも、急に裁縫箱開いて裁縫をするでも、「俺は海賊王になる!」と叫びだすのも全て自由。

「でも、それじゃ作品が壊れちゃう」と思うかもしれません。

大丈夫です。

あなたが本当に役の気持ちを考えて、役を真剣に理解しようとしていれば、結局は(残念ながら)常識的な行動に収まります。

ただ、最後の最後までそういう突飛な行動を起こしてもおかしくないという可能性は残してください。

役の性格や行動を縛らないで上げてください。役はあなたと同じ一人の人間なんです。

あなたがやることは一つだけ。

役は何を考え、何を望み、何を嫌がり、何をしたがっているのか、考え感じること。

それらの気持ちが自分の感情と同じくらいリアルに共感できていたら、いくらでも言葉なんて出てきます。

あなたが友達の言葉に対し、あらかじめ反応を用意しておかないと同じ感覚でいられます。

でも、ちょっとまだ不安・・・というあなたに。

役の内面を理解するのに便利な、独り言というエクササイズがあります。

こちらのページにやり方を説明しているのでよかったらどうぞ。

あとは、役の外的キャラクター(話し方、動き方)、つまり目に見える特徴を作れば、役作りは完璧です。

上に書いた方法で役を作ると、アドリブはもちろんそのほかの演技も数段レベルが上がります。というか演技の質自体が全然違います。

セリフや演出に縛られた役ではなく、活き活きした人間をその場所に存在させることができるからです。

ただ最後にもう一つだけ覚えて帰ってください。

この記事で書いた方法を全て行えば、数段レベルがあがるのは間違いありません。

ただし、ここが演技のスタートラインです。

全てはここからはじまります。

この先に進むために、メソッド演技や、スタニスラフスキーシステムなど色々な演技テクニックを学んで、より役の深い感情にタッチし、リアルな反応を携え、特徴的なキャラクターを身に備えていきます。

演技の世界はめちゃくちゃ奥が深いです。めちゃくちゃ時間がかかります。

極めないと舞台や映画に出られないわけではないので、色々な媒体に出演しつつと言う形でいいと思います。

出演と並行して演技の練習は根気強くやっていきましょう。

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