「エキストラ募集」で検索しドラマや映画に出たいあなたを止める理由

「エキストラ募集」で検索しドラマや映画に出たいあなたを止める理由

よ~し、エキストラでもなんでも出演しまくっていつかは俳優としてデビューするぞ!

・もしかしたら監督やプロデューサーに目をかけてもらえるかもしれない。

・それに有名な俳優さんに会えるかも!

こんな意気込みに燃えているあなたに向けてこの記事を書いていきます。

この記事の趣旨は二つです。

・「映画やドラマに端役でもいいからとにかく出たい」はOK。応募しましょう!

・「エキストラから俳優に這い上がってやる!!」はNG。この記事を是非読んでください。

どうも俳優をやっているヒロユキと言います。

僕は今年で俳優歴13年目になります。事務所に所属していないこともあり大きい作品には出ていませんが、それでもTVドラマ、映画、舞台、ラジオドラマ(製作、脚本、主演)など色々な媒体に出演してきました。

また、この13年間「演技とは」ということを考え続けてきました。その間にスタニスラフスキーシステム、リーストラスバーグメソッド、マイケルチェーホフテクニークなど様々な海外の演技論も学び身体に落としてきました。

僕もエキストラとして、過去にいくつか参加してきました。

そこでの実体験と、現場で会った年間400本以上エキストラとして出演された方と話した内容から、ドラマや映画のエキストラの実態についてお話ししますね。

それではスタート!

映画やドラマにとにかく出演したいあなたへ

俳優を目指しているわけではないけど、一度は映画やテレビに映ってみたい。

あわよくば、推しの俳優さん・女優さんに会えるといいな。

と考えているあなたに、エキストラはいい経験だと思います。

僕も過去にはEXILEさんのミュージックビデオに出演したり、茨城までロケに行ってテレビドラマの収録に参加したりしました。

どちらもエキストラなのでセリフはありませんでしたが、ほぼほぼ推しの俳優さん・女優さんには会えます!

出演シーンによっては会えないこともありますが、募集要項を見て、推しの俳優さんが出そうなシーンの撮影であれば、迷わず応募!でいいと思います。

ギャラに関してはもらえても雀の涙で、ほとんどはノーギャラだと思って間違いありません。

正直、間近で俳優さんが見れるし、映画やテレビにも出演できるといった単純に遊びに行く感覚で問題ありません。

製作側がエキストラにもしっかりした対応を望むのであれば、それ相応のギャラを支払ってこそです。

「金は払わないけど、プロの意識を持って仕事をしろ」は通りません。

ただ、この仕事ならではの最低限のマナーとルールは存在します。

最低限のマナーとルール


・遅刻、欠勤は絶対NG。

・機材には触れない。

・出演俳優にやたらと声をかけない。

・監督の指示には速やかに従う。

ここは絶対に守らなければいけません。一人の怠慢で撮影全体に影響が出てしまいます。場合によっては、「撮影全体の遅延⇒無駄な制作費用がかさむ」につながってしまいます。

逆に、この最低限さえ守っていれば、それ以上の要求は製作側が望みすぎです。

ざっと説明していきますね。

最低限のマナーとルール

遅刻、欠勤は絶対NG。

芸能界全体のルールとお考え下さい。

一人の遅刻・欠勤が出演俳優、スタッフ、スポンサー全てに迷惑をかけます。

現場にもよりますが、1日で数百万単位のお金が動いていることもあります。

本来、芸能事務所などがその保障も兼ねて存在していますが、エキストラの場合責任の追及が難しい可能性もあります。自分自身でしっかりと現場に遅れずに行ってください。電車の遅延が起きることも想定して20~30分前には着いている想定で行動するといいです。

機材には触れない。

カメラや照明、録音機材、あなたが想像しているより断然高額です。

弁償することになったら、数か月分の給料が吹っ飛びます。

それに、その機材が使えなくなることによって、その日の撮影ができなくなる可能性もあります。

マジでリスクしかないので絶対に触らないようにしましょう。

出演俳優にやたらと声をかけない。

俳優は、長期間役作りをした後に撮影に臨んでいます。

他の記事でも説明していますが、本来俳優の仕事の9割は準備期間(役作り)にあります。

撮影は最後の1割。

とにかく長く苦しい役作りを経て撮影に臨んでいるので、彼らの集中力を阻害するのはやめましょう。

声をかけたい気持ちはよくわかりますけど・・・

ただ(現場にもよりますけど)挨拶は構いません。

「おはようございます」

「お疲れさまでした」

の2言を最初と最後にしっかり言うのは大丈夫です。

俳優によっては現場を和ませて、誰にでも話しかけてくれる人もいます。

話しかけられたらもちろん普通に話して大丈夫です。

きっと良い思い出になります。

ただ、逆にエキストラとは会話しないという俳優もいます。

「どうせ一回しか会わないんだから」と。

推しの俳優がそうだったら残念ですけど、結構そんなもんです。

あと、俳優以上に製作側が俳優とエキストラを明確に区別します。

区別というか差別に近いくらい、あまりエキストラを人として扱いません。エキストラ全部で一人くらいの認識でいるかもしれません。

これに関しては、もうそういう業界だと割り切るしかありません。基本的に現場はわちゃわちゃしてるので、エキストラ一人一人に時間を割いている余裕がないんです・・・まあ業界の体質ですね。そういう世界です。

監督の指示には速やかに従う。

これも、当然のルールですね。

撮影の無駄な遅延が生まれてしまいます。サクサク行動しましょう。

エキストラのメインの仕事

現場でのエキストラのメインの仕事は、

待機

です。

十時間にも及ぶ撮影で、あなたの出演時間は2秒とか。

そういうことも普通にあります。

僕も実際そんな体験をしたこともあります。

監督の指示にすぐ応えられるように、あまり遠くに出歩くことはできません。

他のエキストラの人と話すか、運が良ければ俳優さんやスタッフの方と話したりはできます。

あとは、スマホや本で時間をひたすらつぶしてください。

実はこれ、エキストラだから特別待遇が悪くてこんなに待たされるというわけでもないんです。

出演俳優でも、スケジュールの関係で、待機時間がめちゃくちゃ長くなることもあります。

ただ俳優の場合は、香盤表という「何時から〇〇のシーン撮影ね」というスケジュール表を渡されるので、あいだの時間はほっつき歩いていても問題ありません。

エキストラは香盤表が用意されていないので、ひたすら待って声がかかったらすぐに行動に移るのが仕事になります。

まとめ

・エキストラ出演は推しの俳優に会える可能性が高い!

・気楽に参加でOK!良い思い出になる!

・ただ最低限守らなければならないルールがある。
  ・遅刻・欠勤は絶対NG。
  ・機材に触らない。
  ・出演俳優にやたらと声をかけない。
  ・監督の指示には速やかに応える。

・エキストラのメインの仕事は待機。

以上、特に俳優になりたいのではなく、とにかく出演してみたい人に向けてでした。

エキストラから俳優に這い上がってやる!!熱意のあるあなたへ

ここからは、俳優志望、またはすでに俳優として事務所に所属されていて、エキストラの仕事もこなしているというあなたへ向けて書いていきます。

結論から言います。

エキストラから俳優への起用はありません

残念ですが事実です。

理由を説明していきますね。

まず第一に、エキストラ一人一人をじっくり見てくれる状況にならないです。

現場はとにかく忙しい。時間内に撮り終わることが至上課題です。

仮にその日中に撮り終えられなくて別日に延期となると、俳優・スタッフの日程調整、ロケ地の使用料、機材を借りてる場合はそのレンタル代など大変な労力と金額が吹っ飛んでいきます。

やむを得ない事情による延期ならまだしも、エキストラが原因で延期なんてあってはなりません。

だから、製作側はそもそもエキストラに過度な期待はしていないし、不確定な要素が生まれない程度の役割しか与えません。

つまり、演技力やタレント力的なものを求められていないし、見てもらえることもないのです。

むしろ下手に演技をすることで、監督のイメージと変わった画になってしまって注意を受けることもあります。

そうです。僕です(笑)

俳優としてなにか爪痕を残したい人はやりがちかもしれません。

結局悪印象しか与えられない結果となりました。

当然二度と呼ばれません。

第二に、契約関係の問題です。

あなたがエキストラ事務所など何らかの芸能事務所を通してその現場に来ているのであれば、撮影終了後にその事務所に監督やプロデューサーが連絡を入れて、「もう一度あなたとやりたい」という話も起こり得ますが、個人に連絡が行くことはありません。

なぜなら個人だと、機材を壊した場合や、急な欠勤の場合の補償をすることが不可能だからです。

芸能事務所であれば、そこらへんも対応できます。

以上のことから、エキストラから俳優になる道はないと結論付けました。

ちなみに、これは理屈の上だけではありません。

以前映画の撮影で、一年間に400本エキストラとして出演されている方に会ったことがあります。

年400本って一日に2本以上出演している日があるってことです。凄まじい。

そんな人いままで会ったことがないので、どういう生活を送ってらっしゃるのか聞いてみました。

答えをまとめると、

1.何とか生活できるだけのお金は稼げる。

2.俳優としてのチャンスをつかむために1年間ほぼ毎日エキストラ出演したけど、俳優になれそうな気配は皆無。

だそうです。

1作品、エキストラ出演料として大体4000~5000円くらいがギャラ相場のイメージです。

それが400現場となると160万円から200万円。

一人暮らしならなんとか生活できそうです。

そして僕も意外だったんですが、400現場出ても俳優としてデビューできそうな気配がないということ。

これだけ現場に出る人っていうのは、当然普通の人よりプッシュが強いですし、熱意もあります。

それでも、俳優になれるチャンスが見当たらないという・・・

実はこの話を聞くまでは僕も、「エキストラ受けまくって顔売ってくしかないかなぁ」と考えていました。

でも、この話聞いて速攻そんな考え捨てましたね。

貴重な経験を教えてもらえてよかったです。

さて、ここまでのお読みの方の中には、

「そんなこと言ってもエキストラから俳優になった人もいたような気がするんだけど。たまたま監督と話が合うってこともあるんじゃないの?」

とお思いの方もいるかもしれません。

はい。実はそうなんです。

100%エキストラから俳優になることができないわけじゃありません。

以下の条件が揃っていた場合、可能性はあります。

たまたま監督と話せる機会があって、たまたま意気投合して、たまたまその監督が次回作の構想を練っていて、たまたまあなたにぴったりの役があった場合

それでいて、

あなたの演技力(よりも)キャラクターや容姿が飛びぬけて魅力的だった場合

オファーがかかる可能性があります。

これこそ針の穴に糸を通すほど細い道ですが、絶対に起きないとは言えません。

ただ、僕のブログを読んでくれてるあなたには、運に頼らず実力と努力で俳優になってほしいと思ってどの記事も書いてあります。

だから僕は、「エキストラで現場経験を踏んで運よく俳優になる」という道をお勧めしません。

運が悪かったら何にもならないからです。

それに今の世の中、そんなやり方で道が開けるだけのキャラクターや容姿があるなら、tiktokでもyoutubeでもインスタでも圧倒的に楽な方法がいっぱいあります。

フォロワーを増やして、「これだけファンがいるので起用してください」ってメールを一通送る方が何倍もスムーズだと思いませんか?

俳優として生きていく方法

僕が考える、俳優になるための柱は2つです。

1.演技力

2.マーケティング

です。

僕は20代から30代途中まで、演技さえ上手ければ俳優としてやっていけると思っていました。

本当にずっとずっと演技のことを考えてましたし、練習もしてました。

でも、途中で気づいたんですね。

「誰も俺のこと知らないじゃん」

って。

知られてなければ売れるわけがない。

そして、売り出してくれる事務所に所属していないと、オーディションを受ける機会すらほとんどないのが日本の現状です。

さらに極めつけは30歳を超えると大手の事務所は99%、役者メインの中堅事務所も90%以上年齢制限でひっかかります。

悲しいことに応募書類を送っても返事すらもらえないんですよね。

そこで僕は、youtubeに自分の演じている映像を投稿したり、それをインスタやtwitterで拡散しようとしたり色々しました。

でもダメでした。

かなり頑張ったんですが、全然チャンネル登録者が伸びず・・・100人ちょっと。

悔しい思いをしました。

なんで誰も動画見てくれないんだろう・・・

でも今なら理由がわかります。

僕は、

自分自身を売る仕組み(マーケティング)を知らなかった。

一昔前、インターネットが広まっていないころだったら、もう俳優として食っていくのは不可能だったと思います。

ある年齢を超えると、表に出る方法が日本にはほとんどありません。

運に頼るか、海外でデビューするしかない。

しかし今ならインターネット、特にSNSで自分を発信できます。

そこでファンがつけば、ファンの数(フォロワー数)を武器として芸能事務所にも、製作会社にも需要が生まれます。

ファンが多くいるということは、それだけ観客数や視聴者数として金になる可能性が高いからです。

企業はそう考えます。

つまり、個人でも戦える武器が手に入るわけです。

もちろん僕らがフォロワーのことを単なる数と考えていては、フォローすらしてくれません。数字の裏に一人一人の人間がいることをしっかりわかっている必要があります。

詳しくはこちらの記事にまとめました。かなり長い記事ですが、俳優として食っていくための道のりを丁寧に解説してますのでご興味ありましたらご覧ください。

まとめ

俳優になりたいわけでなく、とにかく一度は作品に出演してみたい。俳優さんに会ってみたいという方にはエキストラはおすすめです。

ギャラは雀の涙ですが、滅多にできない経験です。最低限のマナーとルールだけ守って楽しんできてください。

あなたのメインの仕事は待機です。待ち時間は長いですが、それも今後の話のネタになるかも。

エキストラから俳優に成りあがってやる!と熱意に燃えている方にはすみません。

おすすめしません。

エキストラから俳優になることは99%不可能です。

あなたの良さを監督や製作がじっくり見てくれることはまずないですし、契約関係も事務所を通さないと製作側としては怖いからです。

キャラクターや容姿で、オファーが来ることは考えられますが、そんなものがあるならSNSを使った方が今の時代よっぽど簡単で早いです。

SNSって言っても、「どうすれば上手くいくのかわかんないよ~」と言う方はマーケティングを勉強するべきです。

あなたが、買い手(芸能事務所、監督、プロデューサー)にとって欲しい商品になれば、向こうからオファーがかかります。

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