俳優の発声法

今日は発声について語ります。

僕が通っていたワークショップでは、ほぼ発声や滑舌という練習はなかったんすが、唯一といっていい発声練習がこれでした。

声を後ろに引く

いきなりですけど、下手な演技って言われてどんなものを思い浮かべますか?


どの役も同じようなキャラクター。セリフが棒読み。動きが大げさ。
そうですね。たしかにどれも下手な演技といえます。

もし、そこにもう一つ付け加えるなら、

声が前に出ている

こんな演技も下手に見えます。

たとえば舞台って聞いたときのイメージで

「僕はね!○○○なんだ!!」

みたいなのあるじゃないですか。一歩前に出て語り出すやつ。

客席の奥まで主張をとばしたいのか、謎に声を張る人。多分ミュージカルの影響だと思うんですけど。

かたや普段の生活で、そんな人に会ったことありますか?

普段大声を出すときも、ほとんどの人は声は前にはでません。
口の周りくらいか、人によっては若干後ろに引いています。
話し方の癖なのか、普段から前に声が出ててうっせーなーっていう人もごーく稀に街を歩いてますけどね。

まあ、総じてほとんどの人は声は前に出ないんですよ。
だけど、演者はついつい声を前に出して主張してしまう。特に舞台では結構いる。

今この記事を読んでくれている読者の中にも、そう舞台ってそういうもんなんじゃないのって思っている人もいるんじゃないでしょうか。

これは演出家の好みやスタイルもあるので、俳優だけの問題じゃないんですけどね。

ただリアリティという観点から見たら舞台だとしても、やっぱりおかしいわけです。

リアリティを持ちつつ声が前に出てても成立する役というのは、特殊なキャラクターに限ります。

人にうるさいって思われても気にせずぎゃーぎゃー言うタイプ。自分の言いたいことだけ言って自分は絶対だと思ってるタイプなど。

ちなみに現実世界ではそういうタイプの人間ですら90%以上は声は前に出ていません。


だから、どうしても嘘くさくなります。役作りを深めることによって、「このキャラクターならそういう声の出し方もおかしくないな」と思わせることもできますが、それには相当な労力が必要になると思います。

日常生活で見かけることはほとんどないんですから。

それに、声が前に出るといわゆる力みになるんですよね。
そして、それはそのまま緊張につながります。

リアリティもないし硬くなるしで、演技的にはいいところがない。

逆に

声を後ろに引くと、自信のないキャラクターだったり、声に深みを出して思慮深く見せたり、いろいろなキャラクターで使えます。


僕がユーチューブで最初にあげた、アルパチーノとショーンペンの半分モノマネ、半分演技の動画ですが、
彼らの声を真似するのに2,3ヶ月かかってますけど、二人とも相当声を後ろに引いてしゃべっていました。

外国の方は引いてる方が多い印象があります 。

はい、いい加減声を前に出す。後ろに引くと言われ続けて、結局よくわからんってなってると思いますので、
ちょっとここで、前に出てる場合と後ろに引けてる場合の違いをやってみます。

わかりました?違い。

動画だとわかりにくいですよねw

声を前に出すと、いかにもよく想像する舞台での演技みたいでしょ?
声を後ろに引くと、いろいろと声に表情がつけられます。

声を引きつつ、音を喉のどの部分に当てるのか。

声を引く深さを深めたり浅くしたりしてみる。

トーンを高く低くする。

しゃべり方に癖を入れる。

等工夫することによって、自分とは違うキャラクターを作っていくことができます。

これは演技の上手い下手を見極める記事で言うところの、

キャラクター

の部分ですね。

ちなみに、

この練習によってキャラクターの幅は広がりますけど、役の感情が分かった!!とか、脚本の裏の意図が分かった!!とかいう効用はありません。

それは別の練習で鍛えましょう。

役作りの時に、役の動きや声、言葉遣いでしっくりくるところを探すのには、この練習で普段から声を引けるようにしておくと気づきやすくなっていきます。

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