【危険!】狂気的な演技をする俳優になるには?➔実行はしないでください。

【危険!】狂気的な演技をする俳優になるには?➔実行はしないでください。

注意:今回の記事は、冗談抜きで、かなり危険な内容を伴います。
狂気的な演技の解説はしますが、以下のどれか一つでも当てはまったら絶対に実行しないでください。
・俳優歴5年未満
・演じる時に自分のコントロールができなくなる
・メソッド演技に詳しくない
・いざとなった時に助けてくれる人が周りにいない

この記事は、

・狂った演技がすごい!あれどうやってるの?

・なんで狂った演技をする俳優ってうまく見えるの?

こんな疑問をお持ちの方に向けて書いていきます。

この記事を読むとこんなことがわかります。

狂った演技をするための役作りの方法

②狂った演技をすると上手く見える理由

どうも俳優をやっていますヒロユキです。

僕は今年で俳優歴13年目になります。事務所に所属していないこともあり大きい作品には出ていませんが、それでもTVドラマ、映画、舞台、ラジオドラマ(製作、脚本、主演)など色々な媒体に出演してきました。

また、この13年間「演技とは」ということを考え続けてきました。その間にスタニスラフスキーシステム、リーストラスバーグメソッド、マイケルチェーホフテクニークなど様々な海外の演技論も学び身体に落としてきました。

この記事では、狂気的な演技をする方法をお伝えしていきます。

僕は過去に二度、狂気的な役を演じたことがあります。

どちらもかなり役作りに苦労しました。

一つは、女を殴りたい衝動が抑えられなくなる役

もう一つは、人を殺した後、有罪にならないために別人格がやったと偽る役です。

この二つの役を演じた時の実体験も含めて、狂気的な演技をする方法を解説していきますね。

狂った演技をするための役作りの方法

さて。

僕が、さっき言った二つの役を作るのに苦労した理由は、

僕自身に、その役と同じ感性がないから

です。

幸いなことに、今まで僕は女を殴りたいと思ったこともないし、人を殺したこともありません。

しかし、このままでは役を演じることはできません。

なぜなら俳優は、役の気持ちに共感することで、はじめてその人物を演じることができるからです。

だから狂った役を演じるためには、その狂気に共感しないといけません。

理解するだけでは足りない。

心の底から、その狂ってしまった心理に心を寄せる必要があります。

さて、それではどうやって狂った人物の心理に心を寄せることができるのでしょうか。

役の狂気をつかむコツは、

その役のこだわり

を見つけることです。

演技の世界では、「目的」「超目的」「超課題」と言った名前で呼ばれます。

これは、狂った役に限らず、どの役を演じるのにも必ず必要です。

そもそも目的がなかったら、その役の人物が、そこにいる理由がなくなってしまう。

「あの子と付き合いたい」

でも、

「今夜はハンバーグが食べたい」

でも、

「いつかは有名になりたい」

でも、なんでもいいんですが、役にはなにかしらの目的があります。

だから、狂気的な役だろうと、普通の役だろうと、基本的には役作りの方法は変わりません。

目的を見つけて、それに共感して、代弁する。

これだけです。

ただ、狂気的な役が普通の役と違う部分も二つあります。

それは、

①目的がそもそもおかしい
②目的を達成する手段がおかしい

です。

それぞれの攻略法を解説します。

①目的がそもそもおかしい

役の目的が「あの子と付き合いたい」であれば、あなたの過去の思い出からヒントを引っ張り出せます。

似たような想いを感じたことがあるはずですからね。

しかし、僕が演じたような「女を殴りたい」だと、過去の思い出からヒントを引っ張り出しにくいと思います。

もし、運良く(運悪く?)過去に女を殴りたいという衝動を持ったことがあれば、それをヒントにすることができるでしょう。

先に言っておきます。

世間的に、そういう気持ちを持つことが良いとか悪いとか、役作りにおいては全く関係ありません。

役者が「この役の考えてることは悪いことだ」と断じた瞬間に、絶対にその役を演じることはできなくなります。

なぜなら、役への共感をぶった切ってるからです。

役者自身が役に近づこうとしないのに、そんな演技で人様の心を動かすことなどできません。

役者は役と真正面から向き合うのが、最低限のルールです。

というか、演技の前に役に対して失礼。

役がどんな人物であろうと、一人の人間なんですよ。

それを演じさせてもらうのに、理解も共感もしたくないじゃ筋が通りません。

一人の人生を生きさせてもらうのだから、役にできるかぎり寄り添うのは当然だと思うのです。

話が盛大にそれました。

本筋に戻します。

狂気的な役は、そもそも目的自体が普通の役と変わっていることがあります。

それが、あなたに理解できる範囲から遠ければ遠いほど、役の目的に共感するのが難しくなってきます。

それでは、役の目的にどうしても共感できないときはどうすれば良いでしょうか。

答えは、

一番近い感情が生まれた出来事からヒントを見つけてくる

です。

僕が以前演じた「人を殺した後に、別人格がやったと偽る人物」の役作りで考えてみます。

まずこの役を作るときに苦労したのは、人を殺すときにどういう感情が生まれるのかがわからないことです。

経験ないですからね。

そこで僕が行ったのは、自分が過去に殺意を持った出来事を引っ張り出してくることでした。

実行はしなかったとしても、誰しも一度は殺意をもったことがあるのではないでしょうか。

まず僕は、その過去の殺意を改めて感じなおしました。

「あ~、こんな感じだったかなぁ」

ではなく、しっかりと当時の想いが蘇ってくるまで呼び起こします。

これは、日々の演技トレーニングでできるようになります。

そして次に、

「どういう状況だったら実行に移せただろうか」

と考えます。

役はやり通した(人を殺せた)。

でも僕は殺意があったのに殺すまではいかなかった。

それはなぜだろうか。

あなたの過去のどこをどう変えたら、あいつを殺すことができたのか。

過去を改ざんして考えていきます。

こうして、

「仮に〇〇な状況だったら、あなた自身も役と同じように目的を達成できた」

という状況を脳内に作り出します。

ここまでいけば、役の気持ちに共感することもできるはずです。

繰り返し注意になりますが、今説明してる方法はかなり危険です。
文章を読んでるだけでは気が付かないと思いますが、実際にやろうとすると、この時点であなたの精神はかなり不安定な状態になってるはずです。

当時の殺意を心に浮かべて、実行できる状況も頭の中に作り出しているのですから。

俳優歴が長くて、特にメソッド演技に慣れていて、自分自身をコントロールできる人だけ行ってください。
簡単に乗っ取られます。

②目的を達成する手段がおかしい

2つめ。

目的自体は「あの子と付き合いたい」のように普通でも、達成する手段が異常な場合です。

毎晩電話をかけるとか、ストーキングするとか、いきなり実家の両親に手土産を持って行くとかですね。

「いくら好きでも、それはやっちゃいかんだろ」

というストッパーが働いていない状態です。

まあ誰しも、特に恋愛においては、ストッパーが働かずやり過ぎてしまうことなんかはあると思います。

その時の経験を思いだして、

「ああ、わかる。僕はストーキングまではしなかったけど、してしまうこともあるよね」

と共感につなげていきます。

目的が異常な場合にしろ、手段が異常な場合にしろ、役がその目的を達成するためのこだわりに共感することが狂気的な役を演じるための方法です。

あとは、その執着心を世間が認めないレベルまで高めていきます。

いわゆる健全ではない状態までです。

他の人と話すとどうしても社会の常識が入り込んでしまいます。

数日間部屋から出ないで、役の気持ちと自分の過去の経験を考え続けたり、ノートに書き続けたりすると、どんどん閉鎖的で異常な思考が作り上げられていくはずです。

そう。これが狂気です。

あとは、その狂気が役の行動(動き)と結びつくようにするだけ。

こちらは、通常の役者のトレーニングが必要ですね。

いきなりできるものではないので、コツコツ積み上げていきます。

ここまでする必要があるのか?

さて、途中から

「そこまでする必要があるの?」

と思われたかもしれません。

たしかに見せかけだけの狂った演技でよければ、そんなに苦労をする必要はありません。

単純に恥ずかしさを吹っ切ればいいだけです。

俳優じゃなくてもでできます。

その気になれば街中でもできますよ。

しかし、見せかけの演技で俳優と言えるのでしょうか。

以前、演技とはなにかという記事にも書きましたが、僕は役の存在を証明することが俳優の仕事だと思っています。

役の存在を証明するとは、想像の世界にしかいない役という人間を、現実世界に表すことです。

そして、役の抱えている悩みや欲望を代弁することです。

どの演技法で役作りをするかにもよりますが、少なくとも「メソッド演技」では、自分をできるかぎり役に寄せていきます。

役の狂気に近づくことで、または、役の狂気に飲み込まれることで、視聴者に恐怖を感じさせるくらいの演技をすることができます。

見せかけの演技では、ここまではいかない。

「こいつ本当にヤバいな」

と思わせるような演技をするためには、役者自身が役の狂気を信じきれていないといけません。

ただ、役の狂気に近づくので、当然その俳優自身にも悪影響が生じます。

役の考えに引っ張られて、殺意を持ったり、暴力的になったりします。

だから本来、人を殺す役などは、簡単にやらせないほうがいいんです。

相当ベテランで、自分自身をコントロールすることができないと、その役者も関係者もみな迷惑をこうむります。

幸いなことに見せかけの演技で済ます俳優が多いので、精神に影響を与えるところまではいっていませんが、本当は怖いことなんです。

狂った演技をすると上手く見える理由

さて、ここからはソフトな話をさらっとしていきます。

なぜ狂った演技をしてる俳優は上手く見えるのでしょうか。

僕は4つ理由があると考えています。

狂った演技をする俳優が上手く見える理由

①本当の感情(のようなもの)が見える
②普段接する人々とは明らかに違う感性を持っている
③目的が強い
④派手な動きをする役が多い

一つずつ解説していきます。

①本当の感情(のようなもの)が見える

視聴者はやっぱり登場人物の心からの叫びを見ることを望んでいます。

それこそが嘘ではなく真実だと思うから。

狂気的な演技は、ストッパーが外れてる分、本当の感情が溢れているように映ります。

僕らが奥底に隠している、暗く渦巻いているものを画面上に表現してくれていると。

ここまで表現できる人はすごいと。エモいと。

ただ、前述したように、実際は見せかけで演じていることも多いです。

本当の狂気を役者が身にまとっている場合、「すごい演技だ!」と思うのと同時に、本能的にヒヤリと感じるはずです。

②普段接する人々とは明らかに違う感性を持っている

視聴者や観客は、ある種ファンタジーというか、普段見ることができないものを望んでいます。

だから目的が異常だったり、手段が異常な、日常で出会えないような人物を表現できていることに、演技の上手さを感じます。

③目的が強い

実は、この理由は大きいと思います。

①の「本当の感情(のようなもの)が見える」と被りますが、狂気的な役は目的を達成する意識がめちゃくちゃ強いです。

それこそ、手段なんかどうでもよく目的さえ達成できればいい。

「あの子を手に入れたい」

なら、どんな方法を使ってでも自分のものにする。

それが法に触れてようが、倫理に背こうが関係ない。

だからこそ狂気と言われるわけです。

「世界を救いたい!」と思っている勇者なんかより、「目の前の敵を切り刻みたい」という狂気の方が、具体的で力が強いですよね。

この目的を達成する意識は、そのまま感情の強さとして表れてきます。

だから、魅力的に映るのです。

④派手な動きをする役が多い

これは役にもよりますが、狂気的な演技は、単純に大きな声を出したり、激しい動きをすることが多いです。

だから、その動きも相まって、「役の感情が強い!」「本当の感情をぶつけてきている!」と感じるかもしれません。

例えば、藤原竜也さんのように叫びや動きに特徴があると、「すごい感情のエネルギーだ!」と思いやすいのではないでしょうか。

人によりますかね。

全く藤原竜也さんを否定するわけではないですが、僕個人としては、「ゆれる」の香川照之さんのような、ジメッとした狂気が好きです。

まとめ

この記事では狂った演技をする方法と、なぜそれが魅力的に見えるかを解説しました。

狂った演技をするためには、

1にも2にも役の目的に共感することが大切です。

記事内では、自分の過去を使って、役の気持ちを探っていく方法を少し紹介しました。

これはメソッド演技という演技法です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

演技法は他にもいくつもあります。

例えば、演劇界を変えたスタニスラフスキーシステムというものや、マイケルチェーホフテクニークというものがあります。

これらの演技法は、自分の役の気持ちに共感するのに、役者自身の過去は使いません。

想像力や、実際の身体の動きを使います。

だから、この記事で書いたような危険な状態にはなりにくいです。

4つの演技法をざっと説明した記事はこちらです。ご興味のある方はどうぞ。

狂った演技が魅力的だと思う理由は4つあげました。

①本当の感情(のようなもの)が見える
②普段接する人々とは明らかに違う感性を持っている
③目的が強い
④派手な動きをする役が多い

特に③の目的を達成する気持ちの強さは、狂った演技に限らず、とても大切です。

役のパワーの源がここにあります。

基本的には、狂った演技も普通の演技も役作りの仕方は変わりません。

ただ狂気は、普通に生きてきた中では理解できない考え方や気持ちがあるので、そこをどうやって補っていくかがポイントです。

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