【演技が上手い俳優】リリーフランキーのオススメ映画TOP5!!!

【演技が上手い俳優】リリーフランキーのオススメ映画TOP5!!!

この記事は、

リリーフランキーってめちゃくちゃ演技上手くない?他にどんな作品に出てるんだろう?

とお考えの方に向けて書いていきます。

この記事を読むとこんなことがわかります。

リリーフランキー出演の演技がすごいオススメ映画5つ

・なぜリリーフランキーの演技はすごいのか

どうも俳優をやっているヒロユキと言います。

僕は今年で俳優歴13年目になります。事務所に所属していないこともあり大きい作品には出ていませんが、それでもTVドラマ、映画、舞台、ラジオドラマ(製作、脚本、主演)など色々な媒体に出演してきました。

また、この13年間「演技とは」ということを考え続けてきました。その間にスタニスラフスキーシステム、リーストラスバーグメソッド、マイケルチェーホフテクニークなど様々な海外の演技論も学び身体に落としてきました。

この記事では、日本で有数の「演技が上手い俳優」リリーフランキーさんの、特にこの映画の演技は良かった!というもの5つをまとめました。

映画の解説というよりは、リリーフランキーさんの演技部分にフォーカスして「この映画のこの演技が良かったよ」と現役俳優の視点からお伝えしていきます。

記事を読んで作品に興味が出てきましたら、レンタルでも購入でもアマプラでもいいので観てみてください。どの作品もおすすめです。

それではさっそくスタート!

リリーフランキー出演の演技がすごいオススメ映画5つ

リリーフランキーさんは、飄々としたおじさんを演じることが多いですよね。

どの作品を見ても力が抜けていて「演じてます!」感が無い。

「あ~~、こういう人いるよね」という丁度良さみたいのを感じます。

そんな丁度良い感じの演技をするリリーさんの何が「演技上手いな!」と思わせるんでしょうか。

作品ごとにお伝えしていきます。

ぐるりのこと

まずは、ぐるりのこと。

この作品でリリーさんの演技が注目され始めたと記憶しています。

この物語は、普通の夫婦の日常を覗いているようなお話です。

リリーさん演じる佐藤カナオと木村多江さん演じる佐藤祥子は結婚式をあげていませんが、夫婦として一緒に暮らしています。

子供を望む佐藤祥子に対し、カナオの方は、どうしても欲しいというよりは自然にできたらそれでいいんじゃないかぐらいのスタンスです。

そんなすれ違いはありますが、基本的にはお互い愛し合っている二人。

突飛な設定ではなく、そういう夫婦いるだろうな。という隣のお部屋をスクリーン越しに見ている感じを覚えます。

さて、詳しいストーリーに関しては実際に観ていただくとして、リリーさんの演技について触れていきたいと思います。

リリーさん演じるカナオは常に力が抜けていて、終始何を考えているかわからない。

反対に木村多江さん演じる佐藤祥子は、「やりたいこと」、「それに対する障害」、「葛藤している内容」が明確。

夫婦の性格の対比が見えます。

作中、リリーさん演じるカナオは、祥子が精神的に不安定になっているときに横に寄り添ってあげます。

終始どういう感情でいるのか見えにくいカナオですが、こういうポイントとなる場面でちらほら感情が漏れ出します。

感情的になるのではなくて、あくまでカナオとして漏れ出す感じ。

実際に演じる経験から言うと、キャラクターが変わっていて役者から遠い役の方が役作りは難しいです。

なぜなら、自分に無い要素を想像の中から作り出して、そこにリアリティを込めなければいけないから。

「なんとなく〇〇っぽいキャラクター」というものを作り出すだけなら簡単なんですが、自分に無い要素にリアリティを込めるというところが難しいです。正解がわからないんです。

これを解決するには身体を実際に動かして、その役のキャラクター(の気分)が乗るポイントというのを探していく作業が必要になってきます。

かたや、リリーさんが演じるカナオのような大きなキャラクターが無い役の方が、自分に近い分キャラクター作りと言う意味では簡単です。

ただこの場合、特徴が無さ過ぎてのっぺりしてしまうという別の問題がでてきます。

「う~ん。確かに下手じゃないけど、あんまり印象に残らない……」

という演技になってしまいがちです。

しかし、このカナオはそうはなっていません。

特徴という特徴は無いんですが、たまに漏れ出す感情が役自身と深く繋がっているんですね。

「セリフがこう書いてあるから、そう見えるように演じよう」

だと、こうはいきません。

役が薄っぺらくなってしまう。器用なだけの俳優の限界がここです。

このカナオという役を、役者自身(リリーさん自身)が深く理解して、自分の感性とつなげているからこそ、特徴はないけど目を惹く演技に繋がります。

リリーさんは感情の流れがすごくスムーズです。

無理に感情を押し出そうとしたり、「何かやってやろう」という感じが無い。

力が抜けているからこうした自然で、目を惹く演技になります。

まだ観ていない方、特に俳優の方は勉強になると思います。

是非一度観てみてください。

万引き家族

是枝監督の名作、万引き家族。

リリーさんだけでなく出演者全てが演技が上手いです。

ぐるりのことの木村多江さんももちろん上手かった。というか、リリーさんが出る映画はなぜか俳優陣皆上手いです。

さて、この万引き家族は行き場所を失った人々が、疑似家族として生活する話です。

リリーさん演じる柴田治は父親的な立ち位置で、生活を営んでいます。

しかし父親的な立ち位置とは言え、この治は働いてはいません。家族ぐるみで万引きなどの軽犯罪と家主の初枝の年金に頼って何とか生計を立てています。

社会の輪から外れてしまった人々がそれぞれの距離感を保ちつつ、家族としてそこにいる。

貧乏ですが、家族として笑い、家族として助け合っています。

血のつながりってなんなんだろうと考えさせる作品です。

さてリリーさんの演技ですが、これもぐるりのことと同じように、突拍子もないキャラクターを演じているわけではありません。一人の小悪党の生活風景を見ている感じ。

俺に任せろ!と言うタイプではなく、なんとか捕まらないで生きていきたい小物タイプの人間です。

何かのインタビューで、「どの役も自分の中にある要素から作り出している」とリリーさんは語っていました。

その通りこの治という役も、無理をしている感じがありません。

万引きや車上荒らしをするときの躊躇(ちゅうちょ)のなさ.。

疑似家族の間の繋がりも、本当の家族ではないからいたずらに強制することなく少し距離を置いている感じ。

どれもリアルです。

軽犯罪を犯すときの躊躇のなさからは、この人物は普段からこういうことを繰り返しているのだとわかります。

作品の中だけでなく、その役の背景を感じさせられる。

演技の上手い下手が分かれるポイントとして、一つここがあると思います。

あくまで作品というのは、その出演している人物の人生の一部分を切り取っただけです。

本当はそれまでの過去の積み重ねや、生活習慣などがあります。

これらは、観客に「本当はこうなんだ!」といってわからせる必要はない。

しぐさや、言動からちょっとにじみ出ているくらいが丁度よくリアルなんだと思います。

観客は俳優のそういう部分を見て、役の背景を想像します。

「なんかわからないけど、こいつなんかあるな」

これが、役の深みにつながります。

万引き家族の治(リリーさん)は、まさにそんな感じ。

しぐさや言動から、作品以前の治の生活がほんのり見えます。そして、それが役の説得力になっている。

質の高い演技です。

リリーさんだけでなく、安藤サクラさん、松岡茉優さん、みんな上手いです。

物語もおもしろい。

まだ観てなければ、一度は観てみるといいですよ。

SCOOP!

画像出典:あいむあらいぶ様

雰囲気は全く変わってSCOOP!。

福山雅治さん演じる雑誌のカメラマンと、新人記者の二階堂ふみさんが主役の芸能スキャンダルを追う物語です。

リリーさんは、チャラ源という情報屋のキャラクターを演じています。

元からリリーさんの演技は上手いと思っていましたが、この映画でさらにその思いが加速しました。

今までは、どれもキャラクターとしての特徴があまりないリアルな役を演じていたのに、この映画での役はキャラクターに強い特徴があります。

正直、キャラクター作りもこんなにできるのか!と驚きました。

歩き方もしゃべり方も独特。

ラリッてるような思考回路で自分の世界観の中で生きています。

リリーさんの演技を語ると、常にリアリティという言葉が出てくると思います。

リアリティ=役の説得力がある

ということになるんですが、なかなかこれとキャラクターの大きさは共存しません。

なぜなら、

リアリティを求めると基本的に演技は小さくまとまっていくからです。

この記事を読んでいただいているあなたもすでにご承知の通りだと思いますが、キャラクターが大きく変わっている分だけリアリティは無くなります。

観客からは

「そんな動きするやついねえだろ。下手だなこの役者」

と思われるし、

俳優自身は

「下手だと思われたくない。嘘っぽい演技になりたくない」

と考え、結果的にリアリティを求めるほどに演技というのは小さくなってしまいます。

しかし、このチャラ源という役。

キャラクターの個性がめちゃくちゃ強いのにリアリティもしっかり両立している!!

本当にこういう演技ができる人って日本だとほとんどいません。

例外は、菅田将暉さんとかですかね。

彼もキャラクターとリアリティが共存しています。

元々、感情を無理に押し出さないリアルな芝居をするリリーさんなので、大きなキャラクターの上にその要素を重ねたんでしょうけど、このチャラ源はすごいなぁ・・・・・・

この記事を読んでる俳優さんには、ぜひこのチャラ源をモノマネして完コピするのをオススメします。

役のキャラクター(外面)も感情(内面)もですね。

絶対に演技力あがります。言い切れます。

そして父になる

これも同じく福山さんとの共演です。

福山さんの家庭とリリーさんの家庭の子供が産まれた時に取り違えられていて、別の子供を育てていたことに気付くところから物語はスタートします。

福山さんはTHE・エリート。対して、リリーさんの家庭は小さな電気店を営んでいて細々と暮らしています。

子供の育て方も対照的で、福山さんの子供は市立小学校に入学し、いわゆるお坊ちゃんとして育てられます。

逆にリリーさんの子供は、わんぱくで元気な少年。

二つの家庭は「ミッション」と称して、一度それぞれの子供たちを交換し、自分たちの本当の子供を育ててみることになります。

この映画までのリリーさんは、飄々としていて、言葉少なく、どこか雰囲気があるという役柄を多く演じていました。

しかし、この映画では明るく人の良い親父を演じています。

SCOOP!のチャラ源ほどぶっとんではいないですし、ぐるりのことのカナオのように、静かな雰囲気を漂わせているわけでもありません。

ただ、一人の電気屋の主人として、そして子供を愛する父親として、子供を取り違えられたという設定に放り込まれています。

繰り返しになってしまいますが、リリーさんが演じると、その役の人物がそこにいることに違和感を全く覚えません。

観客が観るのは、子供を愛する父親が、今まで育ててきた子供が本当の子供じゃないと知った時に、どう悩み考えて行動するのかです。

だから特別に、この役のここがすごい!という感じではないです。

ただ、一人の人物がそこにいて、懸命に生きている。

ドキュメンタリーを見ているように、その人物の生活を見ることができます。

この映画も是枝監督の作品なんですが、是枝作品とリリーさんは相性がいい。

リリーさんの演技を一言で言うと、

無駄なことをしない。

単純にこれだけなんですが、俳優が実際演じるとどうしても「何かしてやろう」感が出てしまいます。

なぜなら「爪痕を残したい」からです。

そしてもう一つ、何かしないと役が「のっぺりしてしまい特徴が見えなくなってしまう(と危惧する)」からです。

爪痕を残したいのはともかく、特徴が見えなくなってしまうのは役作りとしてはあまりいいこととは言えません。リアルだけど、面白くない。こういう感想が出てきます。

しかしリリーさんは、どの作品も無駄なことをせずにそこにただいるだけ。

それなのに、しっかり存在感がある。

これは一体どうしてでしょうか。

僕は、役との結びつきが強いからだと思います。

役の気持ちに共感し、自分ごととして捉えているから演技が地に足がついている感じがします。

「いや、そんなの俳優なら当たり前だろ」

と思うかもしれませんが、自分ごととして捉えるのはこれかなり大変なことなんです。

例えばあなたに子供がいたとして、

「実はその子供は本当はあなたの子供じゃない。だから交換しましょう」

と言われたらどうしますか?

この回答に関しては人それぞれあるでしょうし、正解も人それぞれだと思います。

ただ、間違いなく皆悩むはずです。

これを、あくまで役だから。自分のことじゃないから。としてぶった切らない。

本当に自分だったらどうするか。どうなるか。を考えて役作りします。

ちょっと考えただけだと、その設定を信じ込むことはできません。

なんとなくわかった気になって、「多分こんな感じ」として演じてしまう。

これだと、役の説得力は生まれません。観る人が観ればすぐにわかります。

「あー、こいつ作ってきてないな」と。

「あくまで役だから」と、役の価値観の理解も共感もしないで、ぶった切っていたら俳優としての成長はそれ以上望めません。

この共感こそが演技の肝だからです。

役に深く共感して、役と同じ高さに立つ。

これがリリーさんの演技が、どの作品でも地に足がついた説得力のある理由です。

凶悪

画像出典:シネマトゥデイ様

ついに来ました。

そうです。凶悪です。

このタイトル通り、まさに凶悪な人間を演じています。

倫理観が欠如していて、人を殺すことも自分の楽しみ以上には考えてない、ヤバい人物です。

SCOOP!のチャラ源とは別の意味でぶっ飛んでいます。

映画を観てから5年以上経っていますが、このキャラクターは今でも思い出せます。

今も覚えている印象は次の二つ。

「こんな奴と絶対会いたくない」

「あー、こういう奴いるわ」

です。

人を殺すことを何とも思っていない残虐な男です。

僕の人生では(多分)会ったことない人種のはずです。

そして今後の人生でも絶対会いたくない人間。

なのに、

「あー、こういう奴いるわ」

と思ってしまう。

この「会ったことないのに、わかる気がする」というのは並大抵の俳優だと演じられません。

SCOOP!のチャラ源のところで書いたこの言葉のとおり。

キャラクターの個性がめちゃくちゃ強いのにリアリティもしっかり両立している!!

これです。

すごい。

俳優に大切な要素というのはいくつもあるんですが(詳しくはこの記事に書いてあります)、正直キャラクターが強くてリアリティがあれば、どの映画に出ても間違いなく上手いって言われます。

リアリティは、感情が大事だと思われがちですが、感情よりも意識の方向が大事です。

日常生活と同じように、意識を正しく向けられるか。そして、日常生活と同じように行動の線がつながっているか。

これがリアルさを生みます。

これをキャラクターを入れつつ(つまり自分自身ではなくて)、できたら上手いですね。

舞台に出ても一人勝ちです。観客の視線全て持っていけます。

さて、この凶悪という作品。

話の内容は重いですし、残虐なシーンもあるので万人にオススメはできません。

ただ、あなたが俳優であったら観ておいてください。あなたの成長の足しになります。

ちなみにですが、この凶悪の作品でもう一人悪い奴がいまして。

ピエール瀧さんが演じています。

正直、この作品ではリリーさん以上にピエールさんの演技が良かったです。

本当に怖い。

なぜリリーフランキーの演技はすごいのか

なぜリリーさんの演技はすごいのかについて、今まででさんざん語ってしまったので、ここではざっとまとめます。

1.役の共感が深く、リアリティがあるため役に説得力がある

2.どんなに大きく変わったキャラクターを作ってもその説得力にぶれがない

3.作品の中だけの人物ではなく、役の背景まで感じさせられる

3番の役の背景まで感じさせられる理由は、作品が成立するように役を作っているのではなくて、役自身と向き合っているから。つまり、1番と同じく役自身の状況や想いを自分ごととして捉えて深く共感しているからです。

色々言いましたが、リリーさんの演技のすごさの一番の理由は

リアリティ

です。

どんな役にもリアリティがある。

無理をして演じていない。力が抜けている。

だから、この先リリーさんがどの作品に出ても、悪い演技をすることは無いはずです。

もしかするとキャラクター性が弱い役に当たることはあるかもしれませんが、この演技は良くなかったねという評価にはこの先もならないと思います。

リアリティさえあれば、外れることはありません。

ただ、リアリティだけだとつまらない演技になってしまうことはあります。

リリーさんは、役と自分自身を深く結びつけられるので、どの作品に出ても無理なく爪痕を残していくと思っています。

今日オススメした中で、まだ観てない作品がありましたら、せめて「ぐるりのこと」「SCOOP!」は観てみてください。

一人の役者がこんなに変わるのかって思いますよ。

ちなみに演技が上手い日本人俳優を俳優目線でランキング形式にしてまとめてあります。

リリーさんもランクインしている日本人俳優TOP5はこちらです。

この記事では、そもそも演技が上手いってどういうことなの?という疑問についても解説しています。

その他に、演技が上手い日本人女優、演技が上手いハリウッド俳優のランキングもありますので、ご興味があればどうぞ。

僕のツイッターでは、ブログとは少し違ったテイストで演技や映画のつぶやきをしています。

ブログほど本腰を入れずに、秒速で読めてちょっとタメになるようなことをつぶやいています。

あなたのフォロー数が一人増えちゃいますが、それが邪魔にならないようなら下のフォローボタンからフォローお願いします。