現役俳優が思う演技が上手い女優ランキングTOP5！【日本人女性編】

この映画の中で、蒼井優さんは十和子という阿部サダヲさん（役名：佐野陣治）の妻を演じています。

ただ、十和子はあまり陣治のことが好きじゃない。なんでこんな人と一緒に生活をしているのかと常に不満に思っています。

陣治は十和子のことを溺愛しているんですけどね。

ちょっと細かい演技の見方になってしまうんですが、この設定を渡されたとき、レベルの低い俳優（女優）だと必要以上に陣治に冷たく当たってしまいます。

「だって、もう愛がないんでしょ？陣治を嫌っていることを表さないと」と。

でも蒼井優さん演じる十和子は、陣治を冷たく扱いながらも、十和子なりの距離感で陣治に接します。

完全に０か１００でぶつかるわけじゃない。常にその間のグラデーションがかかった温度感です。

この曖昧な感情の揺れ動きが、彼女の演技をリアルに見せます。

葛藤が伝わってきて上手いなと感じる。

僕らも、嫌いな相手に対して完全に冷たい対応をするかというと、そうでもないですよね。

ニコニコ接さないとしても、その二人の間にある独自の距離感みたいなのがある。

結局、観客が観たいのって役の葛藤なんですよね。０か１００の演技だとおもしろくありません。

私に渡されたのは、「この人のことが苦手な役」ですって設定を離しているだけに見える。

ちなみにイヴァナ・チャヴァックという演技コーチが言うには、「観客が観たいのは役が葛藤に打ち勝つところだ」だそうです。

松岡茉優

3人目は松岡茉優さん。

正直最近、彼女のファンです。

どの演技も自然体。観てて疲れない。

彼女の良さは、感情の強さよりも僕は「ノリ」だと思っています。

ノリと言っても、「イエエエーーーイ！！」みたいなものではないです。

言ってみれば、心の赴くままに動いてしまうということ。

楽しかったらちょっと身体が動いちゃったり、意味もなく壁を手でなぞってみたりとか、僕たちが日常生活でふとやってしまうことが自然と出てくる。

カメラの前や舞台上で、日常生活と同じような仕草が自然と出てくるというのは、かなりすごいことなんです。

なぜなら、演技をすることに気負いがないということだからです。

僕ら俳優は当然そういう状態を目指して訓練に励むし、常にそうありたいと思っています。

でも、なかなかいつもそうあるのは難しい。

自分自身が舞台上やカメラの前にいるのならまだできます。

カメラや観客を思考の外に追い出せばいい。

ただ、役を演じる場合、そこにいるのは自分とは異なるキャラクターです。

つまり、普段の自分とは違う思考で違う癖を持つ人物が存在するわけです。

その状態で役の自然さが出てくるというのはやっぱりすごいことです。

そんな松岡茉優さんのオススメ映画はこちら。

お笑いの又吉さん作、劇場。

売れない演出家の彼女を演じました。

その甲斐甲斐しさやふとした仕草や笑顔など、男性からみたらすごく魅力的に映ります。

女性からはどうだろう・・・「こんなやつはいねえよ」とか思うのかな笑

まあ、設定上のキャラクターですからね。

彼女の責任じゃない。笑

主演の山崎賢人さんと共に、二人ともとてもいい演技でした。

映画の内容は僕自身に刺さりすぎて、そして山崎賢人さん演じる主人公がクズ過ぎて観るのを一度中断しましたが、それだけ心に響くという事はやっぱりいい映画だったと思います。

アマゾンでの評価は真っ二つですけどね。

この映画を見た直後に、同じく松岡茉優さん主演の「勝手にふるえてろ」を見ると、演技の幅広いな！と感じますよ。

全く違う人物に見える！

でも、どちらの役も無理している感じを受けないので、彼女自身の中にある要素をそれぞれ使って、役を作り分けているんだと思います。

桃井かおり

4人目は桃井かおりさん。

桃井かおりさんと言えばSK-Ⅱ・・・

最近はCMとかでしか見られないので、あまり昔の映画を見ない方には桃井さんの演技は馴染みがないかもしれません。

幸福の黄色いハンカチでは、高倉健さんや武田鉄矢さんと共に出演されました。

僕もあまり数多く彼女の作品を見たわけではないのですが、ある一作品を見て、この女優TOP５に載せたいと思いました。それが、

松本清張作、疑惑。

桃井かおりさんは球磨子（くまこ）という前科四犯の悪い女を演じています。

作品通して悪い女感が出ていて良い演技なんですが、それだけではあえてTOP5に載せるほどではありません。

この作品のもう一人重要人物に、岩下志麻さん演じる佐原律子という弁護士がいます。

作中何度も二人はぶつかり、ストーリーを紡いでいきます。

そして物語も終盤を迎えたとき、球磨子が律子に言ったセリフ

「あんた目つき悪いわね」

このセリフを言った時の、桃井かおりさんの目つきこそめちゃくちゃ悪い！

一言でいうとドロリです。

観ながら、「それお前だよ！」って突っ込んでしまいました。

いや、まじでなかなかあの表情はできないですよ。

表情だけ作れても、そこに中身がなかったらあんな衝撃にはならない。

ほんの5秒くらいの1カットで、「うおお、これやべえ！」って思わせることができるのは素晴らしいです。

この1カットが衝撃的過ぎて、TOP5に入れました。

作品自体も普通に面白いミステリーなのでお勧めです。

杉咲花

5人目は杉咲花さんです。

2021年5月現在、朝ドラの「おちょやん」で主役もやっていますね。

彼女もどのドラマ、映画を見ても上手いですね。なんだろう、安心感があるというか。

「ああ、杉咲さん出てるのね。いい演技するだろうな」

と、信じられる。

どれもいいので、どの作品が一番オススメかとなると難しいところですが、この作品を推します。

湯を沸かすほどの熱い愛

宮沢りえさん主演で、宮沢さんの演技もとても良かったです。

杉咲さんの一番良かったシーンは、学校に行きたくないとベッドにもぐりこむ安澄（アズミ）（杉咲花さん）を宮沢りえさん演じる母、双葉が、布団を引きはがすところ。

二人ともとても良い。

ちょっとだけ演技の話をします。

どの役にも、目的と障害というのがあります。

目的というのは、〇〇になりたい、〇〇をしたいというもの。

障害は、××だからできないというもの。

繋げると、〇〇をしたいけど××があるからできないとなります。

これを葛藤と言います。

役者は役作りの中で役の目的と障害を見つけて、その葛藤の強さを深めていくわけです。

逆に言うと、役の目的と障害が見つかっていないと、作品に存在している理由がありません。

「あれ？こいつなんのためにここにいるの？」

となってしまいます。

どんな役にも、絶対に目的と障害が必要です。

この目的と障害を作らなくていいのは、エキストラくらい。

だから、「エキストラを頑張れば役者になれる」なんてことはありません。

そもそもの、仕事が違います。

エキストラから俳優になりたい人は、実はかなりいるのですが、それは99.99%不可能です。

こちらの記事で、詳しい理由を説明しました。

話を戻します。

この、娘の布団を引きはがして学校に行かせようとするシーンの役の目的と障害を考えてみましょう。

母・双葉は娘を学校に行かせたいという目的があり、本当は嫌がっている娘に無理をさせたくないという障害があります。

娘・安澄は、学校に行きたくないという目的があり、母親を悲しませたくないという障害があります。

このシーンでは、娘側の障害は見えにくいですが、もし障害が全くないと「ただ家からでたくない」という目的を達成させるだけの人物となり、わがまま一辺倒の人物として映ってしまい、こんなに良いシーンにはなりません。

母親の必死な形相や言葉に心が揺さぶられながらも、学校に行きたくないという目的を達成しようとするから、観客も彼女の感情を共感し、心に響きます。

お互いを気遣いながらも、互いの目的・障害・葛藤がぶつかりあうからこそ、この名シーンが生まれているのです。

このシーンを抜粋した予告編を見つけました。

話自体もとても良いのでぜひ観てみてください。

演技の上手い下手を見分けるポイント

さて、俳優目線で演技が上手いと思う女優を５人紹介しましたが、実際演技の上手い下手というのはどこで見分ければいいのでしょう。

音楽なら、音程やリズムが取れてるかなどまだわかりやすいですけど、演技の良し悪しは見分けがつきにくいです。実際に演じたことがないと余計に難しいと思います。

ここでは、簡単に判断できるポイントをざっと３つ紹介します。

1.違和感がない

一番大切なのがここ。

役に説得力がある、そこに存在していると思える。

2.キャラクターが大きい

リアルを求めると演技が小さくなってしまう。

大きく演じて凝縮する。

3.感情の強さが大きい

半狂乱になって泣き叫んでたらなんとなく上手く見える。

でも本当はその感情の強さを凝縮することが大事。

キャラクターも感情もめちゃくちゃ大きく作ってギュッと凝縮する。

漏れ出すものが心を揺さぶる。

です。

一つ一つの詳しい説明は、こちらの記事の2番目のトピック「演技の上手い下手を見分けるポイント３つ」をご覧ください。

もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

【レア】男性俳優と女優は演技の傾向が違うという話

ちょっと珍しい話をしていきたいと思います。

男性俳優と女優、どちらも同じように演技訓練をしているわけですが、今まで僕が実際に見てきたところ明らかに男女で演技の傾向が違います。

今回の内容とは別のところでの批判を避けるために、下の注意文を読んでから先に進んでください。

注：ここから、話の展開として男性女性どちらが〇〇に優れていると言っていきますが、
あくまで僕は演技に関してそういう傾向があると思うということです。
人間としてどうこうという話ではありません。

昨今LGBTQの話題も増えてきていますが、僕自身演技につながる話以外は語れないし語らないので、あくまで演じることだけについて話してるとご理解いただきご気分を害されないようお願いいたします。

さて、男女の役者には大きく2つのポイントがあります。

１．演技を始めた早い段階では女性の方が上手くなりやすい

演技の習いたてや、始めてから1年～1年半くらいの人を見ると、明らかに女性の方が上手いです。

また舞台を観に行って、「お、この人上手いな！」と思うのも9割女性だったりします。

もちろん男性でも早く上手くなる人もいるんですが、割合で言うと９対１くらいで女性の方が成長が早い。

理由に関しては言い切ることができませんが、おそらく女性の方が力押しをしないからだと思います。

言い換えると、物事に対して工夫して立ち向かう。

男性は演技に限らず、物事を力押しでなんとかしようとすることが結構あります。

「無理すれば何とかなるだろう」みたいな。

そして、実際何とかなることが結構あります。

しかし、演技は自分を追い詰めれば良いものができるわけではありません。

感情を扱う職業なので心が動く余地が必要となってくるからです。

無理矢理詰め込むとギチギチになってしまい、役の感情は理解しているけれども、本番で感情が動かないという事が多々あります。

その点女性は男性に比べて力が弱い分、何か壁にぶつかったときに力押しをせず、日常から自然と他の方法で乗り越える工夫をしているのだと思います。

たとえば、笑顔でかわすだとか、話題を変えるだとかです。

そして、この工夫はそのまま脚本の読解や、役の感情理解に使えます。

つまり、役の気持ちを情報として分類するのではなく、「あなたの気持ちわかる～」と共感するみたいな。

これが、感情の揺れ動く余地となって、自然な良い演技につながるのではと思います。

もちろんデータがあるわけでもないし、僕の勝手な解釈です。

理由の信ぴょう性はいまいちですが、実際に初期段階での演技の上手さ、松岡茉優さんのところでお話しした「ノリ」の出やすさ、自然さみたいなのはやはり女性の方が優れていると感じます。

ただ、俳優を続けていく人は男女ともに、演技力を総合的に鍛えていくので、成長していくにしたがってその差は無くなっていきます。

２．キャラクターの大きさは男性の方が大きい

これも、自分の今まで見てきた経験からです。

男女ともに役によってキャラクターは当然変わりますが、キャラクターの大きさの変化に関しては男性の方が大きいです。

キャラクターが大きいというのは、役のキャラクターに特徴を付けられるということです。

例えば日本では、

「相棒」の水谷豊さん、

「リーガルハイ」の堺雅人さん、

「古畑任三郎」の田村正和さん。

すぐ、頭に思い浮かぶくらいキャラクターが強い（大きい）ですよね。

これは演技習いたての時だけではなくて、俳優歴が何年の方でも、男性の方がキャラクターが大きいと思います。

理由ははっきりとわかりませんが、生来、男性の方がリスクを取りがちなのかな・・・

女性はどうしても子供を守ることもあるし、物事に力でぶつからない習性があるからかもしれません。

それか、キャラクターものに子供のころからあこがれるからかもしれません。

女の子がままごとをやっているとき、男の子は特撮ヒーローの真似をして遊びます。

あと、世間も女性の顔に傷がついたら、かわいそうと言うけど、男性の顔に傷がついてもなんとも思わない。

こういった社会的な違いもあると思います。

例えば、「相棒」の水谷豊さんを考えてみます。

相棒では、知的で変わった人物を演じていますが、元々彼の若いころはヤンチャでチャラチャラした役ばかり演じていました。

今となっては想像できないですね。

例えばショーケン主演の「傷だらけの天使」で見ることができます。

「アニキィィィ～～！」

他には、菅田将暉さん。

上手いと思う日本人俳優TOP5にも書きましたが、映画「ディストラクションベイビーズ」と「帝一の國」ではまるっきりキャラクターが違います。

後は、海外から例を出すと、

エドワードノートン　アメリカンヒストリーXとファイトクラブ、まったく違います。

ゲイリーオールドマン　どの役も全く違う。シドアンドナンシーとチャーチル、もう人が違うとしか思えない。

ジョニーデップ　パイレーツオブカリビアンはキャラクターの特徴がやっぱりすごいですよね。

ロバートデニーロ　デニーロアプローチというくらい、外見が全く変わる。レイジングブル一本観るだけでもわかる。

クリスチャンベール　一役ごとの体重の増減が半端ない。マシニストとバットマンの俳優が同じ人とは思えない。（性格も）

このように、キャラクターが大きく変わる俳優がたくさんいます。

女性も役によってキャラクター変わる人もいるじゃないかという声もあると思います。

たしかにどの女優も役によって違うキャラクターを用意します。

しかし、キャラクターの変化の大きさで見ると男性に比べて総じて小さいです。

ただし、中には例外もいます。

例えば、橋本環奈さん。

銀魂のぶっこわれぶりはすごいですね。

あそこまで吹っ切れるのはなかなかできない。

それでもって、普通の役は普通にできる。

あれだけのキャラクターの変化は男性でもあまり見ません。

これから演技の成長する伸びしろがとてもあると思います。

そして、海外からはこの人。この人を紹介したかった。

シャーリーズ・セロン

まじですごい。

元々南アフリカのモデル出身できれいな人なんですが、「モンスター」という映画で驚異の大変身を遂げます。

それがこれ。

信じられない変わりようじゃないですか？
。

これは特殊メイクではなく、役のために毎日ドーナツとポテトチップスを食べ続け、15㎏も増量したからとのこと。

さらに、この役を理解するためにこの役のモデルとなった人物の生活をリサーチし続けて、役に近づけていったのだと。

これこそ俳優（女優）。

だから、キャラクターの変化は男性の方が大きいと思うけれども、

「シャーリーズセロンがいるじゃん」

って言われたら、もう何も言えません。

その通り。

彼女、肉体改造もヤバいけど、演技もヤバいです。

これで、アカデミー賞取ってなかったら誰が取れるんだと思ってこの映画を見てたんですけど、しっかり主演女優賞取ってましたね。当然でした。

まだモンスターを観ていなければ是非これは観てみて下さい。

このトピックの僕の結論としては、

・演技の傾向に男女の違いはある。

・ただ、個人差の方が大きく、男性でも俳優業初期から上手い人もいれば、女性でも男性よりキャラクターを大きく作れる人もいる

です。

まとめ

この記事では、演技の上手い女優5人から演技の上手さを見極めるコツ、男女の演技の傾向の違いと盛りだくさんで書きました。

以下、まとめです。

演技の上手い俳優と作品（敬称略）

満島ひかり　愛のむきだし、woman

蒼井優　彼女がその名を知らない鳥たち

松岡茉優　劇場、勝手にふるえてろ

桃井かおり　疑惑

杉咲花　湯を沸かすほどの熱い愛

演技の上手い下手を見分けるポイント３つ

1.違和感がない

2.キャラクターを大きく演じられる

3.感情を大きく演じられる

男女の演技の傾向の違い

演技が早く上手くなるのは女性

キャラクターが大きく作れるのは男性

どちらも、性差より個人差の方が大きい。

です！

現役俳優が思う演技が上手い “日本人男性俳優のTOP5” の記事と “ハリウッド俳優TOP10【保存版】” の記事もあります！

演技の上手い俳優と合わせてオススメ作品も載せているので、次に見る映画が決まってない方是非どうぞ！

僕のツイッターでは、ブログとは少し違ったテイストで演技や映画のつぶやきをしています。

ブログほど本腰を入れずに、秒速で読めてちょっとタメになるようなことをつぶやいています。

#シドアンドナンシー#ゲイリーオールドマン の出世作になるのかな？

つーか、このキャラクターライゼーション（外的役作り）神でしょ！ここまで本人に似るか？

参考画像選ぶのも、あれ？これ本物？って迷った。

未見の人は、特に最後の方にシド（ゲイリー）が歌うマイウェイを聞いてほしい。#映画 pic.twitter.com/BTbxG2VpVK

— 俳優で旅人　ヒロユキ (@hir_o_o_o_o_) September 4, 2019