[演技力向上]想像の世界を日常と同じ意識で生活するには

[演技力向上]想像の世界を日常と同じ意識で生活するには

この記事では

与えられた設定を信じやすくし、その想像の空間で日常と同じように動けるようになる練習方法をお伝えします。


演技の上手い下手の要素4つと3つという記事で説明した「意識の方向」を伸ばす練習になります。
演技の基礎の基礎。そしてくそ大事。


僕は演技を習い始めたときから、稽古がある日は毎日この練習をやっていました。

その名前は・・・

架空対象行動!!!

僕らは単に架空と言っています。他の団体では無対象行動と言ったりします。

元々はロシアの演出家スタニスラフスキーが作り出した身体的行動という練習が元となっています。

練習方法

今回はいきなりやり方から説明します。

一体どういう風にやるかというと、道具を使わずに日常と同じ動作をします

たとえば、朝起きてホットコーヒー飲みます?

もし飲むなら、実際に目の前にホットコーヒーの入ってるいつものコップが目の前にあると想像して、実際のコーヒーカップを使わずにいつも通り飲んでみましょう。

普段、紅茶やお茶ならそれでもOK。冷たい飲み物より熱い飲み物の方が意識するところが増えて練習になると思います。

さてこの飲むとき、日常と同じところに注意を向けます。


コップの角度・・・こぼさないかな?

一気に飲んでやけどしないかな?

指がコップの熱い部分に触れてないかな?

などなど。

普段はあえてそういうのを言葉にして意識しながらコーヒーを飲んだりしないと思いますが、この練習では、まずは意識して一つ一つの動きを確認しながらやりましょう。

繰り返しやってると意識せずできるようにいつかはなります。
時間はかかります。

注意点として、

コップの重さを感じようとか、熱さを感じようとか、味はどうかな?においはどうかな?とか

そういうのは考える必要ありません!!


それはそれで五感の記憶っていう別の練習があります。
ここではとにかく意識の方向を日常どおりに持てることだけを意識します。

はい、それではこの練習を繰り返してできるようになったら、コーヒーを飲むのに加えて今度は食パンにジャムを塗って食べてみましょう。
ちゃんとジャムのふたを取って、ナイフなのかスプーンなのかわからないですが、いつも自分が使ってる道具を想像で持って塗って食べてください。

慣れてきたら、洗濯物をたたんだり、ドアを開けたり、鍵を閉めたり、料理したりいろいろできます。
いろいろやりましょう!

はい!今日はここまで!

こっから先は、なぜこれをやるのか、この練習は実際演技するときにどう役に立つのかを説明します。
理論に興味ない方は今言った練習方法を繰り返せばOKです!

興味ある方だけこのまま下へスクロール!
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OKですか!?いいですか!?

それじゃあ語りますよー。

架空の理論

まず、この架空は最初に言ったとおり、日常と同じところに意識を向けるための練習です。
ドアの開け方もご飯の食べ方も、想像でやるのと、普段実際にやってるのにはずれが生じてきます。


そのずれの幅は、言い換えれば想像の世界でちゃんと生活できていない大きさを示しています。

そこで、この架空をすることにより、想像の世界でも現実世界と同じように動くことができるようになるんですね。

ただ、この練習の一番誤解されやすいことは

「これ、パントマイムなんじゃないの?」っていうこと。

この練習はパントマイムとは全然違います!!


パントマイムはお客さんを楽しませるためにやる。つまり意識が外に向いています。
この架空は自分自身の意識の方向を確かめるため、自分が想像の世界に入りやすくするためにやります。だから意識が向くのはその対象物にだけ。コーヒーを飲む架空なら当然意識はコーヒーの飲み方。

言い換えると、架空は

お客さんとか第三者は全く意識しないっていうことです。

普段の自分の行動と比べるだけ。

真偽は定かではないですが、実は昔(たぶん昭和に)日本にこの演技法が輸入されてきたらしいです。

ただその時に、それパントマイムでしょ?と思われて浸透しなかった。
そしてその教育法を拒否したために、日本の俳優の演技力が伸び悩んだと聞いています。

かたや、韓国はしっかり取り入れて、現在の高い演技力の俳優がいっぱいいる状態になっていると。

この練習法は、元々、ロシアのモスクワ芸術座の演出家スタニスラフスキーが発明しました。
スタニスラフスキーは、それまでのある特殊な能力(インスピレーション)を持った人しか一流の俳優になれないという世界の認識の中で、

「ちゃんとした訓練をすれば誰でも俳優になれる」と唱え、その訓練方法を作った人です。


演劇界を変えた男だと言われています。
その理論の根幹は、

行動が感情に影響を与えるということ。

「この行動をするとこういう感情が沸き起こる」というトリガーを作る。

安定して望んだ感情にたどり着ける。


これを身体的行動と言います。

だから、この架空と言う練習をすることによって、心に影響を与えて感情が動く状態を作るんですね。

イメージとしては、架空を練習していく先に身体的行動があると言う感じでいいと思います。

身につくまでに時間がかかる練習ですが、俳優にとってとても大事なので是非やっていきましょう!

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