人前で緊張しない方法を俳優のテクニックから伝授します。

人前で緊張しない方法を俳優のテクニックから伝授します。

この記事は、

・緊張をとるにはどうすればいいの?

・いろいろ試したけど、どうしても緊張してしまう

こんな悩みをお持ちの方に向けて書いていきます。

この記事を読むとこんなことがわかります。

①緊張してしまう原因

②一番緊張していない状態はいつ?


③俳優の技術を使った緊張のとり方

この記事では、「俳優の技術を使った緊張の取り方」をお伝えします。

俳優は、舞台でも撮影でも、人前に立って感情を表さないといけません。

ちゃんとした俳優であれば、「〇〇っぽく見える」という見せかけだけの演技はしません。

その場で実際に心が動いて演じます。

だから、他のどの職業よりも緊張は大敵です。

緊張したら心が動かず、演技を嘘で行うしかないからです。

なので、数ある演技論、演技術で、緊張対策が練られてきました。

この緊張対策は、俳優だけでなく誰にでも使えるテクニックです。

今回は、あなたを緊張しにくい性質にする方法をお伝えします。

小手先のテクニックというよりも、そもそも緊張しない精神・身体にしてしまいます。

と言っても、やり方はとても簡単です。

まずは、緊張してしまう原因から一つずつ見ていきましょう。

それでは、スタート!

緊張してしまう原因

なぜ人は緊張ってしてしまうのでしょうか?

緊張してしまう理由の一つは

普段の自分以上のものを見せようとするから

です。

実際に、あなたの実力が、他の人が求めるレベルに達しているかどうかは関係ありません。

・あなた自身が達していないと思っている。(少なくとも本番では達せられないと思ってる)

・そして、なんとかそのレベルに達さないといけないと思っている。

この二つがあると、人は緊張します。

少し形は違いますが、

「いつも通りにやれば大丈夫」

「無理してミスしなければ大丈夫」

と自分に「呪い」をかけることも緊張の原因です。

だって、いつも通りでいいならミスしてもいいじゃないですか。

「ミスしちゃいけない」って思ってる時点ですでにいつも通りではなくなっています。

どちらの場合も、練習で培ったこと以上のものを本番で披露しなきゃいけないという思い込みが緊張を生むのです。

俳優だったら、「セリフが飛んだらどうしよう」「感情が来なかったらどうしよう」、こういった緊張が生まれます。

練習ではちゃんと感情きてたのに、本番でこなかったら・・・ドキドキみたいな。(実際は顔面蒼白です)

演技者じゃなかったとしても、会社のプレゼンだったり、手料理を振舞ったり、初デートとかも緊張しますよね。

やっぱり、どれも普段の自分以上のものを出さなくてはいけないという思い込みから緊張が生まれます。

ではもし、プレゼンが完全に失敗しても、あなたの企画が通ることが内定していたらどうでしょう。

もし、カップラーメンを出すだけで大喜びしてくれる相手だったらどうでしょう。

もし、あなたが毎日いろんな人とデートを繰り返していて、その日の相手が15人目だとしたらどうでしょう。その人とは初デートだけど、すでに15日間連続デートです。

緊張、ほとんどしないと思いませんか?

なぜなら、失敗しても別に何の支障もないからです。

つまり、いつも通りのあなたでいることに何の問題もない。ミスってもOK。

ミスも含めて普段通りで良ければ緊張はしません。

でも、どうしてもそうはいかないときがある。

絶対に決めなきゃいけないプレゼン。

これで落とすと決めている特別な手料理。

めっちゃタイプの相手との初デート。

こういう時はどうしても緊張してしまう。

なぜなら、自分が相手の求めるレベルに達しているかわからないから。

相手に魅力的だと思ってもらえるかどうか自信がないから。

こういう大事なときに、どうしたら緊張せずにいられるのでしょうか。

それを知るために、一番緊張してないときっていつなのか考えてみましょう。

一番緊張していない状態はいつ?

あなたが、一番緊張しないときはいつでしょうか。

これがわかって、そのときの状態に持って行ければ、どんな場面でも緊張しないようになりますよね。

ソファーでゴロゴロしてるとき?

シャワーを浴びてるとき?

晩酌してるとき?

これらも当然緊張はしていないですが、一番となると、僕には違う回答があります。

僕が思う一番は、

友達とふざけあってるとき

です。

友達とふざけてわちゃわちゃやってるときって緊張してませんよね?

というか、どうやっても緊張できないですよね。

なぜでしょうか。

答えを知るために、ふざけてるときのあなたの心について考えてみます。

ふざけているとき、あなたが求めていることは、メインは一つしかないと思います。(細かくはいっぱいあっても)

それは、

「もっと楽しくなりたい」

ということ。

ただただ、今よりももっと楽しくなりたい。

1分前よりも今の方が、今よりも1分後の方がもっと楽しくなりたい。

べつに成長しようとしているわけでもないし、なにかすごいものを相手に見せてやろうとしているわけでもありません。

ただ、その瞬間が楽しければいい。

つまり、心に気負うものがなにもありません。

たしかに、ソファーでゴロゴロしてても、シャワーを浴びてるときも気負うものはありません。

でも、友達とふざけあってるときは、それにプラスしてもう一つ緊張しない理由が隠されています。

それは、なにかに熱中しているということ。

人は、熱中しているものがあると、他のことに意識を向けることができません。

朝、寝坊して遅刻しそうな時に、夕飯の献立は考えられないですよね。

それどころじゃない。

会社に遅刻してしまう。

これと同じです。

友達とふざけあってるときに、熱中しているのは、もちろんその友達との会話の内容です。

「どうすればもっと楽しくなるか」だけに意識が向いています。

つまり、「何にも気負わず、熱中するものがある」。

これが、最高に緊張しない状態を作り出します。

緊張しない状態の作り出し方

何にも気負わず、熱中するものがあれば緊張しない状態になることはわかりました。

それでは、どうやってその緊張しない状態に持って行くことができるのでしょうか。

大事なプレゼン前、手料理を振舞う前、初デートのときに、その状態になることができるのでしょうか。

単純に「 ふざけられればいいんだろ?よし!じゃあふざけよう!!」ってなればいいんですけど、現実問題、大切な瞬間にふざけている余裕なんてありませんよね。

そこで僕がおすすめするのは、ふざけてる時の精神状態になること。

つまり楽しんでる状態になることです。

土壇場でも、ふざけるのと違って、楽しむことはできます。

といっても、緊張していること自体を楽しむのは難しいですよね。

プレゼンすることに緊張しているのに、そのプレゼンを楽しめ!なんてアドバイスにも何にもなっていません。

それでは、どうすれば楽しんでる状態になれるのでしょうか。

「楽しんでるぞー!」って思いこめばいいのか?

楽しい感情を作り出せばいいのか?

いいえ、実は人間は心を操作することはできません。

今まで、「緊張してない!」って言いきかせて緊張が取れたことありましたか?

「楽しもう楽しもう!」「緊張しない緊張しない!」と何度も唱えたところで、無理やり感情をそっちに寄せようと固くなるだけでほとんど効果はありません。

これは俳優も同じです。

いかに、超一流の俳優であっても、自分の感情や心を操作することはできません。

望み通りの感情をいつでも取り出せるわけではないんです。

なら俳優はどうやって演じているのか。

僕ら人間はだれも心を操作することはできません。

ですが、

「誘導」

することはできるんです。

誘導とは

あなたもご存知の通り、人は感情によって行動が生まれます。

暑い⇒涼しくなりたい⇒クーラーをつける、うちわであおぐ。

パソコン作業で肩が凝って辛い⇒腕を伸ばしてこりをほぐす。

僕らは、特に難しく考えなくても習慣としてこのような動きをします。

このように、感情が行動に影響を及ぼすのと同じように、心は身体の動きによって形を変えます。

例えば、あくびをすると力が抜け、ちょっと心が楽になります。

ウソでも大笑いしていると、なんだか楽しい気持ちになってきます。

心と身体は両方が影響し合ってるんですね。

だから、これを応用して心を自分の望んでいる方向に誘導します。

今回僕らは、緊張をとるために楽しくなりたいので、

楽しくなる動きをして⇒あなたの心が楽しさを感じ

楽しさを感じることにより⇒緊張せずに身体が動く

この流れを目指します。

【余談・豆知識】俳優の世界における行動と感情の関係性(とばしてもOK)

ちなみに、この身体の動きから心に影響を与え、感情を湧き起こす方法。

これによって、世界の演劇界は姿を変えました。

この演技法が広まるまでは、数十日に及ぶ舞台の芝居で、毎日感情を自由自在に呼び起こすことができる俳優はいませんでした。

ですから、一部の特別な俳優だけが常に主役を演じ、その他の俳優は決して主役を演じることはできなかったと言います。

あるとき、ロシアのスタニスラフスキーという男が、行動によって感情を呼び起こすことができるという理論を打ち立てました。

この理論を、

スタニスラフスキーシステム

と言います。

舌を噛みそうな名前ですね(笑)

スタニスラフスキーシステムには、「魔法のif」「注意の輪」など、いくつものテクニックがあります。

その中でも、このシステムの根幹となる身体の動きから感情を呼び起こすこのテクニックを、

「身体的行動(しんたいてきこうどう)」

と言います。

この身体的行動のおかげで、どんな俳優でも日常と同じように実際に心を動かしながら、演じることができるようになりました。

その後、このスタニスラフスキーの弟子たち(たくさんいる)が、それぞれの国にこの演技法を持ち帰ります。

しかし、弟子たちの解釈がそれぞれ違ったため、スタニスラフスキーシステムはそれぞれ形を変えて、いろいろな演技論に分派されていきました。

このうちの一つが、日本でも少し話題になっているメソッド演技です。

詳しくメソッド演技を知りたい方は、こちらをご覧ください。

俳優の技術を使った緊張のとり方

さて、ここまでで十分に緊張に関する知識が頭に叩き込まれたと思います。

ここからは実践編です。

どうやって、楽しい感情を作り出し、緊張をあなたの中から追い出すことができるのか。

僕が自信をもってオススメできるめちゃくちゃ簡単で効果のある練習を一つお伝えします。

それは・・・

ジブリッシュ

ジブリッシュとは聞きなじみのない言葉だと思います。

意味としては、「むちゃくちゃ言葉」です。

ジブリッシュのやり方は簡単。

意味のない言葉をとにかくしゃべりまくります。

内容も、キャラクターも何にもいりません。

とにかく適当に抑揚をつけてべらべらしゃべります。

文字だけだと伝わりにくいので、ぜひ動画でご覧ください。

14秒間の動画

「え、こんな恥ずかしいことできない」

って思うかもしれません。

とりあえず、その気持ちは持ったまま説明を聞いてください。

ジブリッシュは、本番前など緊張しているときにも使えますが、普段部屋で一人でいるときにも練習できます。

記事冒頭でお話ししたように、この記事の一番の目的は、

あなた自身が、緊張をとれやすい性質になることです。

だから、普段から1分間だけでもいいのでやっていくことによって、徐々に緊張がしづらい性質になってきます。

緊張しづらくなるし、緊張してしまっても、すぐに取ることができるようになります。

ジブリッシュは、特に話している言葉に意味はもちません。

だから全く頭も使わず無限にできる練習です。(のどはかわきます)

ただ、抑揚をつけてむちゃくちゃ言葉をベラベラ繰り出すだけです。

こうしてジブリッシュをしばらくやっていると、かすかに、「お?なんかこの言い方楽しいな?」というのが見つかります。

「なんか、この音の跳ねる感じが」

「ガギグゲゴの音の感じが」

「高音のあとの低音が」

何でも構いません。

人によっても違うし、同じ人がやっても、気分によって毎回変わります。

ちょっとだけ楽しい言い方をみつけたら、その言い方をがむしゃらに繰り返すのではなく、その言い方に似ている別の言い方でもっと楽しくなるところを探します

ジブリッシュの最大のポイントはここです。

「もっと楽しいところないかな?」

「こんな言い方したらもっと気持ちよくならないかな?」

これをずっと探し続けていきます。

探すといっても、眉間にしわを寄せて「どこだ、どこだ」と探すわけではありません。

あくまで、べらべらべらべらしゃべり続けながら(一回一回止まりません)、

「あ、ここいい」

「あ、こっちの方がおもしろい」

というところを感じていきます。

この楽しくなるポイントを探していくのって、何かに似ていると思いませんか?

そうです。友達とふざけあっているときの感覚に似ているんです。

友達と何も考えずわちゃわちゃやっている感覚を、言葉を使って一人で作り出すのがジブリッシュです。

言い換えると、ジブリッシュとは

「理性を取る練習」

なんですね。

「どうすればもっとよくできるのか」とか、

「ミスしちゃだめだ」といった思考を一旦忘れて、

普段友達とふざけ合ってる時のような状態に持って行ってくれます。

すでに楽しくて、もっと楽しいところを見つけようと熱中できるんです。

さらにジブリッシュは、何度も繰り返し続けていくと、しだいに緊張がしにくい性質に変わっていきます。

楽しむポイントが見つけやすくなってきます。

ちなみに、僕は多分数千回はやってると思うんですけど、

今ではジブリッシュをやろうと口を開けただけで、楽しめます。

「あ、この口の開け方楽しい!」

みたいな。

ここまで行ったら、緊張する大事な場面の直前でも無言でできますよね。

さて、このジブリッシュ。

ただしゃべるだけなんですごく簡単な練習です。

始めるまでの準備もいらないし、1時間やっても、1分でも、30秒でもいいので時間もとりません。

しかし実際やってみると、楽しむポイントをどう見つければいいのか、最初はコツをつかむのに迷うかもしれません。

ジブリッシュのコツは、たった一つ。

「何も考えず、気持ちの良いところを追い続けること」です。

あとは、とにかく数をやって慣れるしかありません。

他にもいくつも緊張をとる方法はありますが、まずはジブリッシュだけ覚えてください。

これが一番手軽で効果が高いです。

それと、声を出すときに恥ずかしがっちゃだめですよ!

恥ずかしいって理性があったらあまり効果はありません。

理性をとる練習なんですから。

まずは自分の部屋の中で、誰にも聞こえない状態でしっかり抑揚をつけてべらべらしゃべってみてください。

練習のポイントは、

楽しくなるところを見つけても、それに固執しないこと。

常に「今の言い方は楽しかった。もっと楽しいところはないかな?」

と貪欲に楽しさを求めることです。

まとめ

この記事では、以下のことをお伝えしました。

①緊張してしまう原因
②一番緊張していない状態はいつ?
③俳優の技術を使った緊張のとり方

緊張してしまう原因は、今以上の自分を見せようとするからです。

今のあなたのままで問題ないなら、緊張しません。

「ミスしちゃいけない」と呪いをかけるのも、今以上の自分を見せることです。

ミスしたって、それが今のあなたなんですから。

一番緊張していない状態は、友達とふざけあっているときです。

ふざけてるときは、「楽しくなりたい」以外の目的はありません。

誰かに評価されるわけでもないし、ミスだって怖くない。

今のままのあなたで、目の前に熱中できるものがあるときが、一番緊張しない状態を生みます。

それでは、どうやってその状態にもっていくことができるのか。

そのための練習方法が「ジブリッシュ」です。

ジブリッシュは、緊張する直前にやることもできますが、自分の部屋でコツコツ、べらべらやることによって、

あなた自身を緊張しない性質に変えていくことができます。

今回の記事の内容は、僕の演技の師匠が書いた「緊張をとる」という本のジブリッシュ部分をかみ砕いたものになります。

もし良かったら、この本も読んでみてください。

ちなみに、師匠から本の紹介料はもらっていません。(くれ!)

最後に、緊張をとる方法は他にもあります。

その一つは、ハードルを極端に低く設定すること。

そして、ハードルを極端に高く設定すること。

ハードルを低く設定する記事はこちら。

ハードルを高く設定する記事はこちらをご覧ください。

僕のツイッターでは、ブログとは少し違ったテイストで演技や映画のつぶやきをしています。

ブログほど本腰を入れずに、秒速で読めてちょっとタメになるようなことをつぶやいています。

あなたのフォロー数が一人増えちゃいますが、それが邪魔にならないようなら下のフォローボタンからフォローお願いします。