メソッド演技を使う世界最高の俳優たちはどうやって役作りをしているのか

メソッド演技を使う世界最高の俳優たちはどうやって役作りをしているのか

この記事は、

・メソッド演技を使っている俳優は誰なのか

・その俳優はどうやって役作りしているのか

と疑問のをお持ちの方に向けて書いていきます。

この記事を読むとこんなことがわかります。

①メソッド演技とは

②メソッド演技VSキャラクター演技

③メソッド俳優の役作り方法とその関連動画

どうも俳優をやっているヒロユキと言います。

僕は今年で俳優歴13年目になります。事務所に所属していないこともあり大きい作品には出ていませんが、それでもTVドラマ、映画、舞台、ラジオドラマ(製作、脚本、主演)など色々な媒体に出演してきました。

また、この13年間「演技とは」ということを考え続けてきました。その間にスタニスラフスキーシステム、リーストラスバーグメソッド、マイケルチェーホフテクニークなど様々な海外の演技論も学び身体に落としてきました。

この記事は、Googleで “method acting techniques(メソッド演技のテクニック)”で検索した時に、wikipediaを除いて一番上位に表示されたサイトを翻訳したものです。
翻訳元サイト:studiobinder

日本からでは、どの俳優がメソッド演技を使っているかはっきりとはわからないため、翻訳という形をとりました。

翻訳の精度はほぼ完ぺきだと思います。

ただ、翻訳元サイトが紹介している動画に関しては当然全て英語です。

ご了承ください。

ちなみに、僕が知っているメソッド演技の全知識を注ぎ込んだ記事はこちらです。

こちらは翻訳ではなく完全オリジナルです。

まだご覧になっていない方は、この記事読了後にでもご覧ください。

それでは、スタート!

メソッド俳優はどうやって役作りをしているのか

以下、()内の言葉は理解を助けるために僕が補足した情報です。

私たちは俳優が深く役に入って自分自身を失くしてしまうことを見ることがある。

そして、そんな彼らは私たちを違う時間と場所に連れて行ってくれる。

人によってはその感覚を味わいたいがために映画館に行く。

でも彼らはどうやってそんなことができるのだろうか?

この記事は、俳優たちを人生を変えるほどの芝居へと駆り立てる、ある演技テクニックについて探っていく。

まずはメソッド演技とは何かを定義し、その後に現代のメソッド俳優を数人紹介していこう。

メソッド演技初心者ガイド

メソッド演技とは何か

演技論(演技テクニック)はたくさんの種類があり、それぞれに異なる歴史と起源がある。

しかし、そのいくつかは他の演技テクニックよりもしなければならないことがたくさんある。

一体何をするのかって?

それは驚くほどの演技パフォーマンスの裏側にある準備だ。

メソッド演技をする上で、これを避けて通ることはできない。

メソッド演技とは

メソッド演技は、完全に役と同化したような表現豊かなパフォーマンスのことで、誠実で感情的な俳優が志す演技テクニックだ。

これは、主に行動することを基本としたクラシックな演技スタイルに代わり、感情を基本としたテクニックである。

メソッド演技は1930年代、リーストラスバーグとエリアカザンによって、アメリカの演技スタジオ(アクターズスタジオ)に、元々のものより発展した形で持ち込まれた。

ロシアの俳優兼演出家のコンスタンティン・スタニスラフスキーが元々のテクニックを開発したのは1900年初頭である。

スタニスラフスキーはその当時これをメソッド演技とは呼ばなかった。

しかし、彼のアイディアは、俳優たち自身が信じることができる役作りのモデルを作り上げたのである。

スタニスラフスキーのアプローチは、俳優自身の個人的な経験や記憶から、本物の感情や役との繋がりを作り出すものである。(これをスタニスラフスキーシステムと言う)

このアプローチは、当時の伝統的、舞台的、そしてクラシカルな演技に対し、強いコントラストを示した。

(スタニスラフスキー以前は、本当に才能のある俳優が主役を演じるのが当たり前で、感性や俳優自身の魅力は変えようのないものだと考えられていました。しかしスタニスラフスキーが、誰にでも日常生活の意識と行動を舞台上で用いることにより、一部の俳優しか持ちえない感性を使えるようになることを教え、全世界の演劇がここから変わりました)

有名なメソッド俳優たち

・マーロンブランド
・ロバートデニーロ(デニーロ自身はあまりメソッドに好意を示していない)
・ヒースレジャー
・ダスティンホフマン
・ヒラリースワンク
・ミシェルウィリアムズ
・エイドリアンブロディ
・ダニエルデイルイス
・ケイトウィンスレット

メソッド演技VSキャラクター演技

キャラクター演技は、エキセントリックで紋切り型(定型化された)なキャラクターを演じる演技タイプだ。

対して、メソッド演技は全ての役に適応できるよう準備をベースにして、リアルを追求している。

キャラクター演技俳優たちも、メソッド演技を彼らの準備の一部分に使用することができるが、やはりメソッド演技は主にリアルでドラマティックなパフォーマンスと相性が良い。

リーストラスバーグは、その演技テクニック(スタニスラフスキー時代のスタニスラフスキーシステムのこと)をより効果的に発展させ、メソッド演技を作り出した。

彼のこの演技理論の根本は

「俳優は、自分が演じている役として舞台上やカメラ前でなくても生活するべきだ」

というものであった。

このために、多くのメソッド俳優たちは撮影が終わるまで役から抜け出すことを拒否するようになった。

彼らが役を具現化するための道のりでは、深刻な体重減少、睡眠習慣や食事の変更、他様々な強迫観念が生まれることが多い。

有名なメソッド俳優とその出演作

メソッド演技は、信じられないレベルのパフォーマンスを生み出すタイプの演技である。

観客は完全に役の世界で迷子になってしまう。

俳優は一体どうやって、そのレベルのパフォーマンスを準備するのだろうか。

俳優によっては、そのパフォーマンスは全人生をかけたものなのだろうか。

オスカーを受賞することは素晴らしいことだ(メソッド俳優がオスカーを受賞することが多いためいきなりこんな話)。しかしもちろんそれだけではない。

メソッド演技の狂気は、とてもリアルで、またしばしば見る人に恐怖をもたらすものでもある。

これから、万全の準備をして演じた俳優達の例をいくつかお見せする。

彼らのパフォーマンスが、メソッド演技のテクニックを定義してくれることだろう。

マーロンブランド

メソッド俳優の起源の一人。

The Men という映画で、マーロンブランドは自身が演じる傷ついた退役軍人の精神を手に入れるために、丸1ヶ月病院のベッドで寝て過ごした。

映画での彼は全く演じているように見えないが、それでいて役を完璧に作り出してもいる。

Marlon Brando explains why acting is necessary

ロバートデニーロ

デニーロは、演じる役を正確に伝えるために、必要なことは何でもすることで知られている。

彼はメソッドに忠実で、それは彼のどの作品を見てもわかる。

例えば、映画タクシードライバーでは、デニーロは撮影が終わるまでの期間中ずっと、12時間のシフトでタクシードライバーとして実際に勤務し、ニューヨークでお客さんを乗せて走っていた。

デニーロの映画を観れば、彼がどれだけ演技に捧げているのかを見ることが出来る。

また、映画ライジングブルでデニーロは、映画の最後のシーンのために重要な肉体改造を行った。

デニーロがおよそ70ポンド(31~32kg)近く体重を増やすために、数か月映画製作はストップした。

以下の動画では、なぜ体重を増やすことが彼にとって重要だったかを説明している。

De Niro on why gaining weight for Raging Bull was important

また1991年にリメイクされた Cape Fear という作品の中では、歯の矯正になんと20,000ドルを支払って Max Cady という恐ろしい役を演じた。

彼は、より恐ろしく見えるように自分の歯を突き砕いたのだ。

正直そんなことをしたこと自体が恐ろしい。

Pacino and De Niro share stories from decades in acting

ヒラリースワンク

ヒラリースワンクは Boys Don’t Cry という作品で、性同一性障害に悩まされる男性を演じるために、ひと月丸々少年として過ごした。

彼女は体重を一気に落とし、頬はげっそりとこけた。

また、胸にはさらしを巻き、パンツの中にぬいぐるみを入れ、より少年であることを感じられるようにした。

Hilary Swank discusses her career and acting techniques

ダスティンホフマン

ダスティンホフマンは “マラソンマン”を撮影している最中、ほとんど睡眠をとることをやめた。

彼はいくつかのシーンを撮る前には、どうやら丸二日間起き続けていたようだ。

当然、このときの彼は本当にひどい姿だったようで、仲間の俳優ローレンスオリビエが

「なんで演じないんだ?そっちの方が全然簡単だろ」

と尋ねたほどだ。

Hoffman was actually exhausted filming Marathon Man

エイドリアンブロディ

映画「戦場のピアニスト」がオスカーを受賞したことは、おそらくどんなことよりも安心したはずだ。

エイドリアンブロディは、ホロコースト下の生存者を演じるために体重を落としただけでなく、毎日4時間かけてピアノの練習に励んだ。

彼は自分の人生をあきらめて、社会から隔絶されることを受け入れた。

さらに彼は、住んでいるマンション、家、電話も全て捨て、役作りのためにヨーロッパに向かったのだ。

彼はこの時、付き合っていた彼女とも別れている。

What is Method acting according to Adrien Brody?

ケイトウィンスレット

愛を読むひとという作品で元ナチス警備員を演じるために、ケイトウィンスレットは、自分の家族にドイツ語なまりの英語で話し続けた。

彼女が元の話し方に戻ったのは、映画の撮影が終わってから数か月たった後のことだった。

Watch Kate Winslet discuss her acting techniques

ダニエルデイルイス

ダニエルデイルイスの役作りへの取り組みは、メソッド俳優とはなにかをそのまま形にして表している。

“The Crucible”という作品で、彼は作品の世界の中で生きることに決めた。

その作品のロケ地は水も電気もない植民地の村のレプリカだった。

ダニエルデイルイスはそこで、入植者が17世紀のアメリカで使っていた道具だけを使って、自らの家を自分自身でその場所に作ったのだ。

またギャングオブニューヨークでは、役作り期間よりも長い間、現代的な冬のコートを着ることを拒否した。

それは、彼自身の健康を役作りに使ったという事であり、結果彼は肺炎になってしまった。

彼はまた、死骸を切り刻む方法を教えてもらうために、肉屋に大急ぎで来てもらうこともあった。かなりぶっ飛んだ決断である。

そして映画リンカーンでももちろん、彼は撮影が終わる7カ月前から役から抜け出すことはなかった。(この映画で3度目のオスカーを受賞しています)

彼は共演者のサリーフィールドと、その間中、役としてテキストメッセージを送りあっていた。

Day-Lewis might be the most consistent method actor

ヒースレジャー

ヒースレジャーは、映画ダークナイトでジョーカーの役作りのために狂気へと落ちていった。

彼は丸一か月間、彼自身のマンションに自分を閉じ込めていた。(6週間ホテルに閉じこもったとも言われています)

この自ら作り上げた隔離空間の中で、彼は笑い方を練習したり、ジョーカーのようにとりとめもないことをノートに走り書きしていた。

ジョーカーを演じる全ての俳優は結局、狂気と言われるレベルまで役に注ぎ込んでしまう。

(他にジャック・ニコルソンやジャレッド・レト、ホアキン・フェニックスなどが演じています)

彼は、彼自身の奇妙な態度と、ジョーカーとして彼に話しかけなかった人々を完全に退けることによって、撮影現場で全ての人を不安に陥れました。

Watch Ledger around the set along with some extra footage

メソッド演技の準備と完全なる没入は、彼のほぼ完ぺきなパフォーマンスも相まって、役と作品にとっては良いものとなった。

ただ残念ながら、俳優自身にとってはそうではない。(この役作りが原因でヒースレジャーは死亡)

彼の死後のオスカー受賞は、「それは価値があったのか?」と尋ねながらも、どういうわけかテクニックを擁護しているものばかりだ。

下の動画は、ヒースレジャーの父が彼のノートを読んだドキュメンタリー作品だ。

タイトルは”Too Young to Die (死ぬには早すぎる)”。

Ledger’s dad goes through his notebook

今回紹介した以外にもたくさんのメソッド俳優がいる。

ジャックニコルソン、

クリスチャンベール、

ルーニーマーラ、

ミシェルウィリアムズ、

ヴァルキルマー、

シャイアラブーフ。

この全員が全員とも、最高のパフォーマンスを手に入れるために、ある時点では、彼ら自身の人格が失われてしまった。

だから、メソッド演技が常に価値があるかどうかは疑問の余地がある。

しかし、彼らがこのテクニックを使って仕事をすると決めたとき、その勇気やスキル、そして生み出される真実を誰も否定することはできない。

まとめ

以上、studiobinderよりメソッド俳優がどのように役作りをして撮影に臨んでいるかの翻訳でした。

英文と和文で、文章構造自体が違うので、わかりにくいところもあったかもしれません。

こちらの記事ではメソッド演技とはどういうものなのかを僕の実体験を交えて解説しています。また、基礎となる【五感の記憶】という練習方法も説明しているので、ご興味ある方はご覧ください。

この記事内でも何度もメソッド演技の危険性について触れていましたが、ぼくの実体験を元にどういう危険性があるかはこちらの記事で話しています。

メソッドは攻撃力は高いけど、その攻撃が自分にも降りかかってくる感じがあります。

実際に役作りに使うときも、その他の演技テクニックとだいぶ違う感じを受けます。

僕の言葉で言うとなんかドロリとしている感じ。

この粘っこさみたいな部分が、役のエネルギー源となって演技で放出されるんですが、このドロリ自体は毒の沼地で自分の身体と精神を傷つけるみたいな。

そんな感じがします。

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