この記事は、
・どの養成所に入れば良いのかわからない。
・へたなところに行って、時間もお金も無駄にしたくない。
こんな悩みをお持ちの方に向けて書いていきます。
この記事を読むとこんなことがわかります。
行くだけムダな俳優養成所・演技レッスン4選
どうも俳優をやっていますヒロユキです。
今年で俳優歴13年目。事務所に所属していないこともあり大きい作品には出ていませんが、それでもTVドラマ、映画、舞台、ラジオドラマ(製作、脚本、主演)など色々な媒体に出演してきました。
また、この13年間「演技とは」ということを考え続けてきました。その間にスタニスラフスキーシステム、リーストラスバーグメソッド、マイケルチェーホフテクニークなど様々な海外の演技論も学び身体に落としてきました。
「演技をちょっとやってみたい」「俳優になってみたい」と考える人にとって、最初の関門はどこで演技レッスンを習うかだと思います。
僕も俳優始めたての頃k、いろいろ探し回った結果家から近い事務所に所属し、そこで演技レッスンを受けました。
しかし、これが大失敗。
練習内容はお世辞にもレベルが高いと言えず、事務所自体に不満はなかったのですが、レッスンを受けたくなくて(そしてそこにレッスン費を払いたくなくて)半年で辞めました。
僕が受けた事務所のレッスンがたまたまレベルが低かったのかというと、そうではありません。
10年以上演技に携わってきて、いろいろな役者仲間から話を聞いて、思うのは、
「俳優の養成所や演技レッスンを受けられるところはいくつもあるけど、正直ハズレが多い」
です。
本当の演技力とは全く関係ないことを教えたり、
生徒からお金を吸い取ることしか考えていない構造だったり、
ただただ厳しいところだったり、
どれも理想的な環境とは言えませんよね。
僕も何か所もレッスンを受けたわけじゃないので、「ここがおすすめ!」「ここはやめた方が良い!」とは言えませんが、
ホームページ内にこの文章が書いてあったらおそらく行かない方が良いだろうなとは判断できるようになりました。
この記事では、そんな僕の判断方法を理由とともに解説していきます。
注:あくまで僕なりの判断基準です。その点ご理解の上読んでください。
それではさっそくスタート!
行くだけムダな俳優養成所・演技レッスン4選
表情とか発声とか言っているとこ。
一番わかりやすいのがこれです。
そして結構多い。
そもそも表情や発声は、いわゆる演技力ではありません。
たしかに表情や発声は、キャラクターに特徴を持たせるために必要な要素ではあります。
でも、あくまで要素の一つにすぎません。
キャラクター作りのことをキャラクタライゼーションと呼ぶのですが、その中には、
・表情
・発声(声の大きさ、声を前に出す、後ろに引く、アクセント、方言)
・動き方
・クセ
・障害(びっこを引いて歩く・失明など)
などなど目に見えるたくさんの要素があります。
じゃあ、クセをつくることを演技力と言うのかといったらこれは言わないですよね。
あくまでキャラクタライゼーションの一要素にしかすぎません。
表情や発声も同じく一要素にしかすぎません。
なのに、「表情や発声を学ぶことは演技力を向上させること!」のように書いてしまう理由は、
なんとなくそれっぽいから
以外の理由が見つかりません。
つまり、
演技と言えば表情や発声が大切なんだろうなぁ
↓
良い表情や発声が身につきます!
↓
お、ここ通おう!
と、何も知らない人を引きずり込む構造が見えます。
結果、生徒は器用なだけの演技が身につきます。
後でも説明しますが、本来演技は習得にめちゃくちゃ時間がかかります。
なぜなら感情だったり、演じているときの意識の方向だったり、想像力だったり、目に見えない要素がめちゃくちゃ多いからです。
つまり、自分が成長しているかどうかの判断が非常に難しい。
だから演技を本気でやってきた人が、「表情や発声が大切!」と声高々に言うことは決してありません。
大切は大切だけど、あくまで一要素にしかすぎないことがわかってるし、これらに捕らわれると表面的な演技にしかならないこともわかっているからです。
だから、サイト内で大々的に表情・発声教えます!と言っているところは、その程度のレベルということです。
本当の演技力を身につけたかったらそういう場所は避けた方が良いと思います。
参考までに、じゃあ僕が考える演技力とはなにかと言うと、
目に見える要素
・感情
・キャラクター
・意識の方向
・ノリ
目に見えない要素
・想像力
・本番力
・読解力
の7つです。
これらの要素をそれぞれ成長させることにより、あなたの演技力全体が底上げされます。
ご興味ある方は、こちらの記事にまとめましたのでご覧ください。
複数の演技ブログで【おすすめの事務所1位!】になっているとこ。
演技関係のブログやサイトをいくつも回っていると、なぜかいろいろなところでオススメされている事務所(?)を見たことありませんか?
俳優養成所・・・ではなく芸能事務所・・・なのかな。
正直僕も内情は良く知らないですし、もしかするとちゃんとしたレッスンをしてくれるところなのかもしれません。
なので、中身を否定するものではないことを先にお伝えしておきます。
ここでは、なぜ複数のブログで同じ事務所がおすすめされているのかを解説します。
答えは単純明快。アフィリエイトだからです。
アフィリエイトというのは、貼ってあるリンクをたどってそのユーザーが商品を買ったり、事務所に入所したりすると、紹介料が入る仕組みのこと。
つまりどの演技ブログでも1位にいつも同じ事務所が来ているのは、そのブログ運営者に紹介料がはいるからです。
ちなみに、この行為自体は全く非難されることではなくて、商売をやっていくうえでとても当たり前なこと。
事務所としてはたくさん生徒を集めたいし、ブログ運営者もできればお小遣いをもらいたい。
win-winな関係なわけです。
いわゆる広告ですからね。
でも演技を学びたい人からみたら、どのブログでも同じ事務所(スクール?)をオススメに上げているのはやっぱり違和感ありますよね。
「みんながオススメするほどそんなに良いところなの?」って。
繰り返しますが、僕自身そこに入学したわけではないので、良し悪しはわかりません。
ただ、いつも1位に輝いている理由は広告収入を得るためだよってことだけ伝えたかったんです。
ちなみにそれがアフィリエイトかどうか判断するには、そのリンクにカーソルをただ置いてみればわかります。
左下にリンク先のURLが表示されますが、そこにpx.a8.netとついていたらアフィリエイト。
a8netという超大手ASP(アフィリエイトを斡旋する会社)からリンクをもらっています。
その他にも、その事務所の名前に全く関係ないアルファベットや謎の文字列だったら、同じくどこかから収益が発生しています。
逆に、https://actrip.jp/みたいなシンプルなURLだったら、ただオススメのサイトとしてリンクが貼られているってこと。
つまり、そのブログ主が本当に良いと思って貼ったリンクです。(その判断が正しいかはさておき)
僕はいくつもの事務所を掛け持ちしたわけではないし、それぞれの差を語れるほど演技レッスンを渡り歩いたわけでもないので、一切紹介はしません。
っていうか、おすすめの事務所やスクールを複数紹介できるのって不思議ですよね。
「全部の事務所体験したんですか?」って突っ込まれたら返答に困ると思うんだけどなぁ。
すぐ演技が上手くなるとか言っているとこ。
次は「すぐに」とか「短期間で」と書かれているところです。
人はもれなく、効果がすぐ表れる的な言葉に弱い!
上でも書きましたが、演技は目に見えない要素(感情や想像力や読解力)がたくさんあります。
だからフィードバックが少なく、自分が成長しているかどうかが本当にわかりづらいです。
特に感情なんて水ものだから、今回は上手くいっても、次の舞台では全く心が動かず惨敗なんてことも普通に起きます。
だから、すぐに上手くなると言い切ることは誰にもできません。
宣伝文句だったとしても、すぐに上手くなりますと言っているところはやめておきましょう。
器用にそれっぽく見せることだけ教えられるのが関の山です。(それこそ表情や発声)
演技では、具体的に「ここがこう変わったから良くなった」というのはありません。
英単語10個覚えたとか、ギターでFのコードが弾けるようになったとか、100m走が0.5秒速くなったといった簡単にわかる指標がないからです。
でも長年やっていると、人の演技を見て「あ、こいつ掴んだな」というのはわかります。
ここら辺は本当に感覚です。
見る人が見れば、「動きと心が連動している」「躊躇がなくなった」「自由になった」みたいなのがわかる。
僕らはこれを演技の質が変わったと呼んでいます。
ただ、やっぱり普通は数か月じゃ無理です。
これは演技の技術というより、もっとその人自身の思考のクセみたいなものをヌルリと変える感じ。
その人のそれまでの人生で固く築き上げてきたものを、演技の稽古を通してちょっとずつ俳優の感性に変えていく作業です。
考え方・感じ方を変えるのをすぐにできるわけがありません。
ちなみにぼくは成長が遅くて、そのころ習っていた先生から「ようやくスタートラインに立ったな」と言われたのが、演技始めてから1年半経った頃でした。
出演した作品で言うと、5作品目。
統計をとったわけじゃないけど、毎日頑張って稽古している俳優の演技の質が変わるのはだいたい1年後な気がします。
楽しかったり、辛かったり、苦しんだり、仲間と一緒に毎日頑張る中で少しずつあなたの内面が変わっていきます。
だからやっぱり時間が必要なんです。
ちなみに、突っ込まれる前に先に言っておくと、僕もこんな記事を書いています。
タイトルはやっぱりインパクトを与えないといけないので、すぐに上手くなるかのような言葉にしています。
でも中身を読んでもらうとわかりますが、器用なだけのウソの演技を推奨しているわけではありません。
まずは、周りから認めてもらいやすい部分に特化して鍛えようという内容です。
記事内で紹介しているのは、俳優をやっている限りずっと使える必須技術。
めっちゃ簡単に言うと、
感情は鍛えるのも、鍛えられたか判断するのも時間かかるから、それは置いておいて他のところから鍛えよう。
自分も周りもわかりやすいところから育てよう。
そしたら自分の成長が早めに感じられて安心できるんじゃない?
という内容です。
俳優やってる限り、感情はどうせ死ぬほど稽古することになりますしね。
ご興味あれば、あとで読んでみてください。
有名監督がなんたらかんたらってとこ。
最後に、行くべきでない俳優養成所・演技レッスンは、監督推しのところです。
有名監督が来ているなら、「映画に使ってもらえるかも!すごい演技の秘策を教えてくれるかも!」と思ってしまうのは分かります。
僕も何度かそういったワークショップに参加したこともあります。
たしかに、そこに所属することで映画に使ってもらえる可能性はあります。
しかし、あなたが所属するクラスにどのくらい生徒がいて、そのうち何人を起用してもらえるのかはわからないし、映画と言っても全員チョイ役で出演できるショートムービー程度で、ほぼ人目に触れない作品ということも考えられます。
だから、結果的にあなたが満足できるかはわかりません。
まあでも、出演できるのは悪くない。
よく話を聞く必要はあるけど、チャンスかもしれない。
ただ「演技のすごい秘策を教えてくれるかも!」は、期待しない方が良いです。
有名監督が演技の良し悪しがわかるかどうかは完全に別の話。
どの監督も自分の作品に都合の良い俳優を見極められるかもしれないけど、演技の良い悪いは分かっていない人が多いです。
だって、もしあなたが俳優を10年やったとしても、「あの監督の作品は~~~だから良くない」「向こうの監督の作品の===は、まあまあだけど、▲▲のところは良かった」なんて言えませんよね。
なぜなら、それは演出部分であって、俳優がタッチするところではないからです。
逆もまた然り。
なぜか世間では、監督は俳優の演技のことをしっかり理解しているみたいな風潮があるけど、そんなことは全くない。
完全に別の職業の人間です。
僕はいつも、建築の設計者と大工のような関係だと思っています。
大工は設計できないし、設計者は大工の作業はできない。
あ、でもフォローを入れておくと、中には、ちゃんと芝居を見れる監督もいます。
映画観てたりすると、ああこの監督はしっかり見てるなとわかる。
パッと思いつくところだと、山田洋二監督(寅さんシリーズ)や、是枝裕和監督(万引き家族)など。
でも僕はリアルでそういう監督に遭遇したことはないです。
まとめると、出演の機会を得るためにそういう養成所やスクールに参加するのはアリです。
しかし、演技力を鍛える観点でいうと、演技を専門で教えてくれるところの方が良いでしょう。
まとめ
この記事では、行ってもムダな俳優養成所・演技レッスンの見極め方4つを解説しました。
内容をまとめるとこれ。
・すぐに演技が上手くなることはない。
・わかりやすいメリット(表情を魅力的にします・すぐ上手くなる・監督付き)を押し出してくるところは信用しちゃダメ。
さて、ここから先は現実に起きやすい問題点についてちょっと触れます。
俳優として仕事を獲得していきたい人は、やっぱり芸能事務所に所属しようと考えると思います。
そして事務所にはたいてい演技レッスンがついてきます。
または、その下部組織で事務所の養成所があるとか。
この演技レッスンでちゃんとしたことを教えてくれれば一番良いんですが、それこそ入所しないかぎり実情はわかりません。
「ここは良いよ!オススメ!」という口コミがもしあったとしても、今度はその人の判断が正しいかが疑問です。
自分の体験と偏見をもとに言うと、事務所の演技レッスンはやっぱり現場で使いやすい(次の仕事につながりやすい)ものを教えるはずです。
だから、器用なだけのウソの演技であることが多い。
「相手の目をしっかり見てしっかりセリフを話せ!」とかね。
これ、一見正しいことを言っているように思いますか?
でもリアルで、相手の目をしっかり見て話すことってそんなにないですよ。
あなたも普段誰かと話していて、「相手の目を見つめ続けちゃ失礼かな」って思ったり、なんとなく気恥ずかしくて他のことをしながら話したりしませんか?
映像映えみたいなのを無視して、リアルに言えば、見つめ続けるのは違和感があって当然。
もちろん見つめて話すこともあるけど、そういうケースの方が少ない。
違和感に気づく。排除する。違和感に気づく。排除する。を何度も繰り返して、ちゃんとあなた自身の心が現実と同じように動くようにしていく。
これが演技力を伸ばしていく道です。
でもレッスンでは、自信満々に「芝居はそういうもん(相手の目を見て話すもの)だ。私たちは正しいことを教えている!」と接してくる。
こうしてあなたの小さな感性の声はかき消され、本当の演技力が身につきません。
結果的に、事務所のレッスンを受けつつ、演技力向上のためには他のところで学ぶしかなくなってしまいます。
僕の役者仲間でもこのパターンの俳優はたくさんいました。
しかし現実的な話。
仕事やオーディションを紹介してくれるのは事務所だから、どうしてもそっちの練習を優先してしまいがちになります。
こうなると、コツコツ時間をかけて演技力を伸ばすまともなレッスンはどうしても立場が弱い。
「現場で使えない」「それ意味あるの?」みたいな。
あなたの内面は徐々に俳優用の内面に変化しているのにもかかわらず、目に見える変化があまりない(遅くて見えにくい)から何もやってないことにされます。
事務所には年齢制限があるので、早く入所した方が良いのは間違いありません。
でもこのように事務所と別の演技レッスンで、同時に全く別々の演技の教えを受けることは、あなたにとってかなりのストレスになります。
そして、まともなレッスンだけを受け続ける俳優と比べて成長は確実に遅くなります。
今までそういう仲間を何人も見てきました。間違いありません。
個人的な理想を言えば、しっかり演技術を学べるところで数年間一生懸命学ぶ。
そして、器用な演技を教えられてもあなたの芯がぶれないレベルまで到達する。
その後に、改めて事務所に入るのが良いとは思います。
まあ、年齢制限の壁が痛いですよね・・・
どう選択するかは、もちろんあなたの自由です!
ただ器用なだけの演技に染まらずにいてくれると良いなぁと思います。
さてさて、事務所をまず見つけるにせよ、演技力をガツンと最初に伸ばすにせよ、その前に知っておくべき演技の基礎と心構えはあらかじめ学習しておきましょう。
基礎と言っても、素人から名優やレジェンドと言われる俳優まで、どんな俳優でもずっと持ち続けているものです。
これが演技力を積んでいく土台になります。
演技の実戦的な練習の前に、この理解がマストです。
参考記事:演技の基礎
参考記事:演技の心構え
そして最後に、
「行っても無駄なレッスンは分かった。じゃあ一体どんな演技ワークショップに通えばいいんだ」
と、至極当然な疑問をお持ちのあなたへ。
答えはこちらに書きました。
https://actrip.jp/school-mikiwame
さて、僕のツイッターでは、ブログとは少し違ったテイストで演技や映画のつぶやきをしています。
ブログほど本腰を入れずに、秒速で読めてちょっとタメになるようなことをつぶやいています。
#シドアンドナンシー#ゲイリーオールドマン の出世作になるのかな?
— 俳優で旅人 ヒロユキ (@hir_o_o_o_o_) September 4, 2019
つーか、このキャラクターライゼーション(外的役作り)神でしょ!ここまで本人に似るか?
参考画像選ぶのも、あれ?これ本物?って迷った。
未見の人は、特に最後の方にシド(ゲイリー)が歌うマイウェイを聞いてほしい。#映画 pic.twitter.com/BTbxG2VpVK
演技力の要素の一つに「意識の方向」というのがある。日常生活と同じように、舞台上やカメラ前でも意識を向けることができるか。
— 俳優で旅人 ヒロユキ (@hir_o_o_o_o_) May 21, 2021
上手い俳優は皆できてる。
具体例を上げると、#ゴッドファーザー Ⅰのマイケルがトイレで銃を探してから撃つまでのシーン。
ここは意識がパッパッと入れ替わってる。 pic.twitter.com/OrH1gscvMw
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