この記事は、
・憑依型ってなに？
・憑依型俳優って誰？
・どんな特徴があるの？
とお考えの方に向けて書いていきます。
この記事を読むとこんなことがわかります。
・憑依型俳優の特徴がわかるチェックシート全20問
・あなたは憑依型になりやすい？
どうも俳優をやっているヒロユキと言います。
僕は今年で俳優歴13年目になります。事務所に所属していないこともあり大きい作品には出ていませんが、それでもTVドラマ、映画、舞台、ラジオドラマ（製作、脚本、主演）など色々な媒体に出演してきました。
また、この13年間「演技とは」ということを考え続けてきました。その間にスタニスラフスキーシステム、リーストラスバーグメソッド、マイケルチェーホフテクニークなど様々な海外の演技論も学び身体に落としてきました。
この記事では、憑依型俳優の特徴をすぐに判別できるチェックシートを用意しました。
このチェックシートは、僕が実際に共演した憑依型俳優といて感じたことや聞いたことから作成しています。
もし、あなたが憑依型の資質を備えているのなら俳優・女優の世界は向いていると思います。
そして、おそらく現実世界は生きにくいのではないでしょうか。
現実世界で生きにくい要素はそのまま俳優の世界で魅力・能力としてもてはやされます。
是非あなたが憑依型の特徴を備えているかチェックしてみてください！
なお、以前の記事で書いた通り、あなたがテレビや映画で見る俳優が憑依型かどうかを見極めることはできません。
なぜなら憑依型かどうか判断できるタイミングは、テレビに映っている時ではなく、役作りの間の話だからです。
それも日常生活を共にするくらい、その人と近くにいないと見えにくいです。だから実際に仕事をした監督や演出家でさえ気が付かないことも多いです。
ただ、憑依型になりやすい特徴というもの自体はあります。
ちょっと今回のチェックシートと以前の記事で誤解を生むかと思って先に書いておきました。
憑依型の詳しい説明はこちらの記事に書いてあります。
それではさっそくスタート！
憑依型俳優の特徴がわかるチェックシート全20問
全ての項目をなんとなくの直感で、はいかいいえでお選びください。
それではいきます。
1.どちらかというと論理的に考えるより感覚的なタイプだ
2.人ごみは嫌い。超嫌い
3.旅行の計画などは人に任せたい
4.今までの人生、人に合わせて生きてきた
5.素直に自分を出して受け入れてもらえるとなかなか思えない
6.他人の目を気にすることがよくある
7.ホラーやスプラッター映画は絶対に観れない
8.物語を読み終わり、（もしくは映画を観終わり）その主人公になった気分が30分以上抜けない
9.気が付くとボーっとしている
10.ボーっとしていたら２時間以上経っていた
11.文字に色がついて見える
12.やろうと思えば音（特に音楽）を身体の中に注げる
13.共感覚がある（音の色が視える、文字の匂いがするなど）
14.テレビなどで人が高いところから落ちてるシーンを見ると自分も落ちてるように感じる
15.空想していて現実に戻った時、ガクンっとリアルな衝撃を覚える（居眠りから覚めた時のような）
16.人の体験談を聞くと、当然自分が体験したことのように感じる
17.自分の指を焼けた鉄の棒だと仮定して、腕に押し付けるとやけどする
18.小説を読んでて、景色が見える、音が聞こえる、匂いがある、さわれる、このうち３つ以上がある
19.道端や、部屋の中で、「ここは海だよ。潮の匂いする？砂浜を踏んでる感じある？」と聞かれ、「そりゃ海なんだからあるよ。当たり前だろ」と思う（聞かれた経験がなくても多分で構わない）
20.あなたのどちらかの親に19番の質問をすると同じような答えが返ってくる、または返ってくると思う
点数表とそれぞれの憑依型レベル
それでは、それぞれの点数を計算してみましょう。
1~7問目までは１点（最高１×７＝７点）
8~12問目までは５点（最高５×５＝２５点）
13~16問目までは３０点（最高３０×４＝１２０点）
17~19問目までは１０００点（最高１０００×３＝３０００点）
20問目は38点（最高３８×１＝４８点）（点数調整）
合計３２００点。
１～２５点の人
９０％以上の方がここに入ると思います。
残念ながらあなたは僕と同じく、憑依型ではありません。
生きにくいと感じることがあったとしても、ガチの憑依型の人よりは現実に対応できる能力を持っています。
ただ、どうしても憑依型の特徴を備えたいと願い、また身近にそういう友人や恋人がいる場合、努力次第で近づくことはできます。僕がそうでした。この記事の最後の方にちょっとコツを書いてあります。
２６点から８０点の人
あなたは少し憑依型の特徴を備えています。俳優で言うところの、心がゆるい状態が意識的、無意識的に作り出すことができ、想像の世界に入りやすいはずです。
もしあなたが演技をやってみると、他の役者よりも成長が早いので「あれ？なんでこんなことが皆できないんだろう？」と思うかもしれません。ただスタートは良いですが、良い俳優になるにはその才能に慢心せず、努力が必要です。
８１点から９９９点の人
もう、かなり憑依型です。見たものや聞いたものが、自分ごととして感じるというのは、ほとんどの俳優にとってとても羨ましい才能です。
その分あなたは日常生活で、他の人に理解されにくい生きづらさを抱えていると思います。
また、俳優として生きていこうと思っても（もしくはすでにやっているとしても）、あなたのその素晴らしい才能を理解できない人や団体はかなりいると思います。最良の答えは僕にもわかりませんが、一つだけアドバイスできるとしたら、
あなたの才能・性格全てを受け入れてくれる劇団か事務所かワークショップは絶対にどこかにはあります。
団体の数的に東京でないと厳しいかもしれませんが、どこかにはあります。認められないことが多いと思いますがありのままを受け入れてもらうには探すしかありません。
なぜ、こう言い切れるかというと、僕が共演したその憑依型の俳優もずっと馬鹿にされ続けてきたからです。
そしてついに、思う存分才能をいかんなく発揮できる場所を見つけました。
僕でよければ、ブログのお問い合わせからメッセージいただければ相談にのります。
１０００点以上の人
あなたは憑依型です。
一言で言えば「天才」です。
俳優としては誰もがうらやむ才能を持っています。
しかし、逆に現実世界はさぞ生きにくいでしょう。
きっとあなたは理性的に考えることはちょっと苦手だと思います。
だから、戦略的に自分をいい位置（俳優であれば売れるポジション）に持っていくのは難しいんじゃないかなと思います。（そんなことなかったらごめんなさい）
もし、あなたが演技をすでにやっているのであれば、その才能で周りをなぎ倒し続けるのが、一番あなたが売れるのに近い道筋だと思います。
「ちょっと演技が光る人」とかとは一線を画してます。平たく言うと「バカでもわかる」くらい演技がすごい。
とにかく演技力を慢心せず伸ばして、舞台に、映画に出まくってください。きっと誰かの目に留まります。
逆にあなたがまだ俳優業をやっていないのであれば、演技を勉強し始めることで一躍スターになることも夢じゃありません。
日頃、日常生活では上手くいかないことが多いと思うので、圧倒的な才能でなぎ倒す快感を感じられると思います。
「何で他の人はこんなこともできないの？」って思うはず。
それくらい能力としては圧倒的です。ほとんどの俳優はその能力を身につけるために数年～数十年訓練を重ねます。
しかし、だからこそ、慢心しやすいです。
その団体のリーダーが求めてる演技のレベルにはすぐに到達してしまいます。
でも演技は、もっともっと奥が深いです。
憑依型の人は想像の世界に入ることは得意ですが、
「役の本当の想いに共感すること」
「大きなキャラクターを作って、そこにリアリティを込めて凝縮すること」
「脚本の読解」
やらなければならないことはまだまだあります。
特に、想像の世界に入りやすく、役が感じてることも自分ごととして感じやすいため、
「役の気持ちをわかった」
と思うタイミングが早く、理解したつもりで終わってしまうことが多いかもしれません。
本来は役作り中に、役の本当の感情や目的を、こうでもないああでもないと考え続けて、結果最初のイメージから二転三転（四転五転）して本当の想いにたどり着きます。
作品や役にもよりますが、1ヶ月から3ヶ月は普通にかかります。
世界最多アカデミー賞を獲得したダニエル・デイ・ルイスでさえ、一つの映画に半年から一年役作りに時間をかけます。
それを第一印象で、「あ、役の気持ちわかりました」はいかに憑依型と言っても考えられません。
何度も台本を読み直したり、ノートに自分の人生と照らし合わせて考えることで、必ずもっと深い部分が見つかります。
他の俳優より有利な性質であることは間違いありませんが、絶対的に優位というわけではありません。才能だけでは、努力を絶やさない人に負けます。
あ、あともう一つ。このタイプの俳優は、バカでもわかるくらいすごい演技力を発揮できますが、その演技力自体を発揮できないように演出でガチガチに固めてしまう大バカものもたくさんいます。
ワークショップも劇団も事務所も監督も演出家も関係なく、そういう人がいます。
請け負った仕事は投げるわけにはいきませんが、できるだけそういうところから逃げてください。
あなたの才能が抑え込まれつぶされるのは世界の損失です。
探しまくれば、あなたのありのまま全てを受け入れてくれる団体や人物が見つかります。
それと、だまされやすいタイプでもあると思うので、全てを受け入れてくれるからといって盲目的に信じるのも怖いですね。
どうしても相談先が無かったら、ブログのお問い合わせから僕にお問い合わせください。お金を取ったりとかしないので。
憑依型特徴チェックシートの解説
あなたの結果はいかがだったでしょうか。
この数値と結果は、あくまで僕が実際に憑依型俳優と出会って共演して、感じたり聞いたりしたところを元に構成しています。
なので、何か正式なデータをもとに作成というわけではないので、どのような結果であっても「はは～ん」くらいに思っておいてください。
それでは簡単にチェックシートの解説をしていきます。
憑依型俳優は、基本的にぼんやりしています。
ぼんやりというと語弊があるかもしれませんが、日常的に空想するのが得意で、すぐに想像の世界に入れます。
だから、演じる上でも
想像を信じこむことに抵抗がありません
個人的に、憑依型の肝はここだと感じています。
抵抗が無いというか、自然と信じ込んでしまう感じです。
９９％のそうでない人間も、空想したり想像したりはもちろんしますが、あくまでそれは想像なんです。
憑依型タイプの人間は、空想は空想、現実は現実とわかっていても、その境目が曖昧で完全に分かれきっていないように思えます。
例えば、僕が共演した憑依型俳優はこう言っていました。
憑「芝居がある日は、朝起きてからずっと世界がキラキラしてるんだ」
僕「キラキラ？」
憑「うん。これ比喩じゃなくて、本当に世界がキラキラしてるんだよ」
ですって。
現実と、彼の内面から沸き起こる印象や感情が混ざっているかのようです。
日常的にこういった現実と想像の境目があやふやな世界を生きているんだとしたら、そりゃ当然想像の世界にも入りやすいだろうと思います。
というか、もう半分想像の世界で生きてますよね。
だから、９９％の俳優が「想像（脚本の世界）を信じ込む練習、想像の世界で自由に動く練習」という努力が必要なところを、すでに高いレベルでクリアしているわけです。
このチェックシートも、どれだけ想像の世界に入りやすいタイプなのかを基準として作りました。
特に後ろの方の設問は、実際にその当事者の体験談を元に出題しています。
「全く憑依型の要素なかったよ～」という方もご安心ください。
僕自身も、その彼と会うまでは、多分10点くらいしか取れていませんでした。
しかし、なんとかその技を盗みたいと思って、毎日（無理矢理つきまとって）一緒に行動していたところ、
12.やろうと思えば音（特に音楽）を身体の中に注げる
15.空想していて現実に戻った時、ガクンっとリアルな衝撃を覚える（居眠りから覚めた時のような）
これくらいは日常的に起こせるようになりました。
コツとしては、物事を理性的に考えないでボーっとするです。
特に、身の回りにある音とか、肌に当たる風とか、五感に普段から意識を軽く持っていく習慣を持つとそういうタイプになりやすいです。
逆に、暇な時間はすぐにスマホを取り出したり、次の予定を考えたりしてしまうと、どんどん理性が強くなってしまって、憑依型から離れてしまいます。
最後に、大事なことなのではっきり言いますが、憑依型でなくても良い俳優にはなれます。
それに、憑依型は上で見てきた通り、想像の世界に入りやすい分、現実世界と折り合いがつかなくて生き辛い性質も備えています。
だから、無理して憑依型に近づく必要はないとだけ覚えておいてください。
ただ理性をゆるませることは、演技力全体を向上させるので、そういう習慣やトレーニングは取り入れていくといいと思います。
憑依型の詳しい説明はこちらの記事で。
ヒロユキの演技ワークショップはこちらから。