今回は知ったかという練習方法を紹介します。
知ったかというと通常はいい意味では使いませんが、
役作りにはとても効果的です。
実はこの知ったかという練習方法には2種類あります。
どちらも想像を信じ込みやすくする効果がありますが、
微妙に効果が変わってくるので両方やりましょう。
またどちらも一人ではできないので、練習相手(話し相手)を用意してください。
共通の過去を創る知ったか
これは相手役と、脚本に書いてあるシーンの10年後に会話していると仮定して、脚本にあること、ないことを適当に語り合う練習です。
この練習をすることによって、自分と相手の役者に共通の過去が生まれます。
例えばコンビニで高校の同級生に偶然再会した。という設定だったら、
「いやー、あのとき久しぶりに会ってびっくりしたよー(←脚本にある)。チョコボール買ってるときに急に声かけてくるんだもん(←脚本にない)」
「はっはっは。後ろ姿でお前かなーって思ってさ。驚かしてやろうと思ったわけよ」
「しっかり驚いたわ笑 いつもあのコンビニ使ってんの?」
「・・・実は、お前があのコンビニよく行ってるの前から知ってたから、あの日ずっと待ってたんだよね(←脚本にない)」
と、このようにあることないこと話します。
嘘をつくことを怖がって、脚本にあることばっかり語ってしまうと、ただの事実確認になってしまうので練習の意味がありません。
間違っても矛盾が生じてもいいのであることないこと話しまくってください。
途中で「あれ?これじゃ話しつながらないな」と思ったら、しれっと戻しましょう。気にしない。
そして、相手の話を否定しないこともポイント。
否定すると次の会話が生まれにくくなります。とりあえず話にのって進めると思わぬ話の展開になったりして、より役の過去を自分ごとにできます。
もう一つポイントは、その話の中で自分がどう感じたか、何を考えていたかを語ると役作りのヒントになることが多いです。
まとめ
あることないこと話す。
脚本にないこと中心に話す。
間違っても気にしないで話す。
相手の話を否定しない。
自分の考え・思いを話す。
質問形式の知ったか
この練習を行うことによって、役の内面をより深く掘っていくことができます。
やり方は一人が質問専門、もう一人が回答専門として行います。
ある程度時間を決めて、交代しましょう。
質問する側は、○○のシーンのときどう思った?なんで○○したの?どんな少年時代すごした?
など、質問をしまくります。
回答側はそれに対し、即興で(またはすでに役作りで作っているものを)話します。これもできるだけ脚本に載っていない思いや考えを回答したほうがいいです。脚本に書いてることを語っても意味がないので。
また、役作りですでに作っている部分だなと質問側が感じたら、この場合も相手の役作りを深めるために質問を変えましょう。
回答側の「うわ。考えてなかった」というところを、どんどん深く掘っていくのが大切です。
なので、質問する側のポイントとしてはどんどん質問を変えるのではなくて、
相手の回答に対し、きびしめにとことん突っ込んでいった方がいいです。
例えばさっきのコンビニの話の続きでやってみると、
「なんで俺のこと待ってたの?」
「バンドもう一度組もうと思ってさ。あの後公園で誘ったじゃん(←脚本にある)」
「ほんとにそれだけ?(←掘り下げる)」
「あー、実は言えなかったけど生活厳しくてお金も貸してもらえないかなと思ったんだわ」
「何で言わなかったの?(←掘り下げる)」
「冷静になって考えてみたら、これからバンド組む相手に金の無心とかって亀裂の元じゃん」
「それが理由で言わなかったの?」
「うん」
「ほんとに?他にもあるでしょ(←さらに掘り下げる)」
こうすることによって、自分ひとりじゃ思いつかないところまで無理やり考えさせられます。
こうして役の本当に求めていること、脚本上には出てこない裏の感情などを見つけていくことができます。
逆説的になりますが、この考えさせられた答えがイコール役の過去にならなくてもいいんです。
そのあと一人になってから、いやいややっぱりこの役はそうは思ってないはずだと考え直してもかまいません。
ただ、その無理やり考えさせられたものが自分ひとりじゃたどり着けない役作りのヒントをもたらすこともあります。
この練習を繰り返しやっていくことによって、気づくことも出てくるでしょう。
あまり構えずに、「お。これ使えるな」と言うのが見つかったらラッキーくらいで練習していきましょう。
まとめ
質問役・回答役をわける。
脚本に書いてないことを中心に質問をする。
間違っても気にしないで話す。
一つのポイントをできるだけ掘り下げる。
答えが思いつかなくても無理やり回答をひねりだす。
後で使えないなと気づいたらいつでも変えてOK。
二つの練習に共通すること
どちらも話すだけなので特にパワーを使わないし、いつでもできるので、とにかく何度も繰り返しやることが大事です。
役作りの初期段階で知ったかをした場合と、中期、後期でやった場合、全く違う様相を呈してくるのも特徴です。
特に、共通の過去を創る知ったかを、初期・中期・後期と繰り返し行っていたら、それだけでもう一本脚本がかけるくらい二人の間に共通のストーリーができているはず。
自分の役の過去を深めるだけでなく、二人の役の関係性が極めて強固になり、それは演技の端々で自然と滲み出してくるでしょう。
僕のツイッターでは、ブログとは少し違ったテイストで演技や映画のつぶやきをしています。
ブログほど本腰を入れずに、秒速で読めてちょっとタメになるようなことをつぶやいています。
#シドアンドナンシー#ゲイリーオールドマン の出世作になるのかな?
— 俳優で旅人 ヒロユキ (@hir_o_o_o_o_) September 4, 2019
つーか、このキャラクターライゼーション(外的役作り)神でしょ!ここまで本人に似るか?
参考画像選ぶのも、あれ?これ本物?って迷った。
未見の人は、特に最後の方にシド(ゲイリー)が歌うマイウェイを聞いてほしい。#映画 pic.twitter.com/BTbxG2VpVK
演技力の要素の一つに「意識の方向」というのがある。日常生活と同じように、舞台上やカメラ前でも意識を向けることができるか。
— 俳優で旅人 ヒロユキ (@hir_o_o_o_o_) May 21, 2021
上手い俳優は皆できてる。
具体例を上げると、#ゴッドファーザー Ⅰのマイケルがトイレで銃を探してから撃つまでのシーン。
ここは意識がパッパッと入れ替わってる。 pic.twitter.com/OrH1gscvMw
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