この記事は、
・どの演技スクールに行けば良いのかわからない。
・へたなところに行って、時間もお金も無駄にしたくない。
こんな悩みをお持ちの方に向けて書いていきます。
この記事を読むとこんなことがわかります。
見せかけでないちゃんとした演技を教えてくれるスクールの見極め方
どうも俳優をやっていますヒロユキです。
今年で俳優歴13年目。事務所に所属していないこともあり大きい作品には出ていませんが、それでもTVドラマ、映画、舞台、ラジオドラマ(製作、脚本、主演)など色々な媒体に出演してきました。
また、この13年間「演技とは」ということを考え続けてきました。その間にスタニスラフスキーシステム、リーストラスバーグメソッド、マイケルチェーホフテクニークなど様々な海外の演技論も学び身体に落としてきました。
演技スクール、演技レッスン、俳優ワークショップ、養成所、名前は様々ですが、俳優の卵たちに向けて演技を教えますよ。という場所は結構あります。
とくに、東京であればかなりの数。
100人以上の生徒がいるところもあれば、1~2人しか生徒がいないところもあります。
パッと聞くと、100人も生徒がいる方がちゃんとしたことを教えてくれそうな感じを受けます。
しかし、実は俳優の世界ではそうでもありません。
数多く生徒を抱えているところは、
1.有名事務所と結びついている
2.映画監督が講師
3.ダンスや歌など幅広く教える
など、付加価値をつけていることが多いです。
そして、HPの綺麗さや、広告費を使うことで、幅広く人目につくよう展開しています。
当然その分、値段も高いです。
かたや、1~2人しか生徒がいないワークショップの練習は大したことないかというと、これまたそうとも限りません。(大したことないところもたくさんありますが)
そもそも演技なんてニッチな世界です。
映画やドラマを観るのは好きでも、自分がやろうと思う人は少ない。
ましてや、出演の機会を提供できるわけでもなく、有名な人がいるわけでもない、ただ貪欲に演技力だけを磨くワークショップに生徒は集まりにくいです。
どんなにレベルの高いことを教えているクラスでも、世間に見つけてもらえないと生徒は集まりません。
さらにレベルが高いかどうかも、演技という性質上、入ってみないとわかりません。
だから、生徒の数と良いレッスンかどうかは関係ないということは知っておいてください。
僕も生徒数が5人以下のワークショップに通っていたこともありましたが、そこの教師は、世界でも有名な演技論を海外で学び、それを日本で広める活動をしている方でした。
誰でもわかりやすいメリットを提供する場所ではないため生徒数は多くありませんでしたが、レッスン内容は充実していましたよ。
演技スクールは日本に数多くありますが、しっかりした演技論をもとに、本当に成長させてくれる場所は決して多くありません。
残念なことに、「現場ですぐ使える!」だとか、「オーディションで勝てるようになる!」だとか、器用さばかりを追い求めたレベルの低いレッスンが多いです。
しかしそれでは、世界で通用する演技力は身につきません。
この記事では、あなたの演技力をちゃんと成長させてくれる演技スクールを見つけ出すにはどうすればいいか解説していきます。
それでは、スタート!
(おそらく)ちゃんとした稽古が受けられる演技スクールの見極め方
さて、それではどんな養成所やスクールに通えば良いんでしょうか?
日本だけでなく、世界に視界を広げてみると、アメリカでもイギリスでもヨーロッパでも共通する有名な演技論(演技法)がいくつもあります。
例えば、
スタニスラフスキーシステム
メソッド演技
マイケルチェーホフテクニーク
マイズナーメソッド(テクニック)
イヴァナ・チャバック演技術
・・・など
それぞれ、役へのアプローチ方法や練習内容は違いますが、さすがに世界中で教えられているだけあって、どれもあなたの演技を確実にレベルアップさせてくれます。
「これらのどれかを教えます!」と言っている養成所や演技レッスン、ワークショップだったら、大きく失敗することはないと思います。
なぜならどれも演技法がしっかり確立しているので、小手先のテクニックの習得にならないからです。
そして実際にあなたが映画で見る、ハリウッド俳優たちもこれらを学んで、ああいった表舞台に立っているわけです。
だから、演技教師が極端に曲解していないかぎり、世界標準の演技術を学べるはずです。
実際日本でも最近の、特に若手の俳優は、この中のどれかを学んでいることが増えてきました。
よく耳にするのは、メソッド演技やマイズナーメソッドかな。
教える演技教師や、その練習環境によってレベルの差はどうしても出てきますが、それはもう実際に通ってみないとわかりません。
引っ越し先の隣の部屋の住人が当たりかどうかわからないのと同じです。
ただこういうスクールなら、最悪の場合でも、表情や発声が唯一だと思っているようなクラスにはならないでしょう。
しかし、
「いくつも演技論あるみたいだけど、じゃあ、どれを習えば良いの?」
という質問に対しては残念ながら、絶対にこれ!という答えはありません。
ハリウッド俳優の中でもバラバラです。
ちなみにドイツの俳優に僕が直接聞いた話によると、ドイツ国内ではスタニスラフスキーシステムが基礎としてあり、それに付け加える形でメソッドやチェーホフテクニークがあるようです。
僕がわかる範囲で4つの演技論をまとめました。
良ければ参考にしてください。
とりあえず事務所所属の養成所に入ろうと思っている君へ。
「言いたいことはわかったけど、とりあえず事務所に所属して、そこの養成所で訓練積みながら考えてみよう」
「練習だけしてても出演先がないとなぁ・・・」
なんて思っていませんか?
たしかに、日本の俳優業界は、年齢制限が非常に厳しい。
なので、早めに事務所に所属した方が良いと僕も思います。
しかし、その事務所(の養成所)で良い演技が学べるとはかぎりません。
むしろ事務所は、本物の演技力の向上よりも、現場で使いやすい演技を教育してくる可能性が高いと思っています。
僕が最初に入った事務所もそうでしたし、俳優仲間の話を聞いても、やはりそういう器用な演技を教えるところが多いように感じます。
現場で使える演技が良い演技ではないというところが最大のポイント。
これが他の業界と違うところです。
現場で使える演技は、
「短期間で、どれだけリアルにそれっぽく見せられるか」
に特化しています。
教師は、「もっと感情を出せ!」とか「もっと表現しろ!」とか専門家っぽいことを言ってきますが、本当の演技では決してそんなことを言いません。
感情はムリヤリ押し出すものではなく、作り上げたものが自然と漏れ出すものです。
だいたい表現する役の内面を作りこんでもいないのに、いったい何を表現しろというんでしょうか。
それっぽく見える嘘のことを表現と呼んでいるの?
役作りとは一人の人間を作ることです。
当たり前ですが、時間がかかります。
技術も基礎能力も必要です。
そして、これが俳優の仕事です。
さて、養成所のレッスンが役に立たなければ、並行してちゃんとしたところにも通えば良いと思うかもしれません。
もちろん不可能ではありませんが、2つの理由で厳しいです。
1.仕事やオーディションを斡旋してくれるのが事務所のため、ちゃんと演技力を伸ばしてくれるワークショップのレッスンより、事務所のレッスンを優先してしまいがちになってしまう。
2.単純に毎月、月謝を2か所に支払うのは厳しい。
それに、二つのレッスンを並行して行うと、別々の演技理論(片方は間違った理論)を同時に学ぶことになるので成長は遅くなります。
個人的には、以下の流れでプロの俳優になるのが良いと思います。
1.最初にしっかりした演技論・演技術を教えてくれるところを見つけて、数年間ちゃんとした演技を学ぶ。
2.周りから口を出されても、あなた自身の演技観がぶれないところまで成長したら、事務所に所属して撮影に臨む。
最初に申し上げたように、日本は芸能事務所の年齢制限が非常に厳しいです。(ちなみに、アメリカには年齢制限が無い)
だから理想は上の順番で進むことだけど、同時並行で進めなければいけない場合もあると思います。
完璧な正解はありません。
最後に一つだけ言わせてもらうとしたら、演技は変なクセがつくと取り除くのが大変です。
どう進むかよく考えて選んでください。
まとめ
この記事では、(おそらく)まともな稽古をつけてくれるであろう演技レッスンの見極め方と、とりあえず事務所に所属してから考えようと思っている方へ一言忠告をさせていただきました。
内容をまとめるとこの3つ。
・世界的に広まっている演技論を教えてくれる場所なら、おそらくまとも。
・事務所がちゃんとした演技レッスンをしてくれるとは限らない。
・事務所と、他のワークショップを並行して学ぶのは結構厳しい。
事務所をまず見つけるにせよ、演技力をガツンと最初に伸ばすにせよ、その前に知っておくべき演技の基礎と心構えはあらかじめ学習しておきましょう。
基礎と言っても、素人から名優やレジェンドと言われる俳優まで、どんな俳優でもずっと持ち続けているものです。
これが演技力を積んでいく土台になります。
演技の実戦的な練習の前に、この理解がマストです。
参考記事:演技の基礎
参考記事:演技の心構え
ワークショップ探しを絶対失敗したくないあなたには、行くだけムダなワークショップ4つをまとめました。
それぞれのサイトを眺めるだけで、「ここは行くだけムダだ」と判別できる優れた記事です(笑)
どうぞご利用ください。
2022/1/14 追記
2022年から演技ワークショップを開講することにしました。
見た目だけの器用な演技に逃げないガチの演技力が身につきます。
僕が学んできた海外の演技論、スタニスラフスキーシステム、メソッド演技、マイケルチェーホフテクニーク、そして僕の俳優としての全知識全て教えます。
ワークショップの詳しい内容は下の記事をご覧ください。
さて、僕のツイッターでは、ブログとは少し違ったテイストで演技や映画のつぶやきをしています。
ブログほど本腰を入れずに、秒速で読めてちょっとタメになるようなことをつぶやいています。
#シドアンドナンシー#ゲイリーオールドマン の出世作になるのかな?
— 俳優で旅人 ヒロユキ (@hir_o_o_o_o_) September 4, 2019
つーか、このキャラクターライゼーション(外的役作り)神でしょ!ここまで本人に似るか?
参考画像選ぶのも、あれ?これ本物?って迷った。
未見の人は、特に最後の方にシド(ゲイリー)が歌うマイウェイを聞いてほしい。#映画 pic.twitter.com/BTbxG2VpVK
演技力の要素の一つに「意識の方向」というのがある。日常生活と同じように、舞台上やカメラ前でも意識を向けることができるか。
— 俳優で旅人 ヒロユキ (@hir_o_o_o_o_) May 21, 2021
上手い俳優は皆できてる。
具体例を上げると、#ゴッドファーザー Ⅰのマイケルがトイレで銃を探してから撃つまでのシーン。
ここは意識がパッパッと入れ替わってる。 pic.twitter.com/OrH1gscvMw
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